普通免許で運転できるトラックについて徹底解説

普通免許で運転できるトラックについて徹底解説

 

はじめに

 

私たちの日常生活を成り立たせている『インフラストラクチャー』は経済の発展のためにも欠かすことの出来ない社会基盤です。この社会基盤にある電力、ガス、水道はあって当たり前のことであって、その存在を普段から意識する人は少ないと思います。

 

そして、物流はその『インフラ』の一部です。物流は今、世の中の大きな変革の中でさらなる成長を遂げつつあります。遥か昔より人馬の力に頼って荷物を運んでいました。蒸気機関の発明は産業革命を興し、大量の物品を生産することを可能にして大量の荷物を運ぶことも可能にしました。

トラックは戦後の日本の復興を支え、日本経済を揺るがない盤石なものに成長させました。

 

そして現在、インターネットによるBtoC事業の急速な拡大、それを加速させたコロナ禍のいまだ先の見えぬ大きな力。

時代に合わせてやっと動き出した『働き方改革』。

菅総理より宣言された「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」

などとともに物流、そしてトラック輸送は進化を続けています。

 

物流、トラック輸送無しでこれからの日本経済の発展が成り立つことはあり得ないのです。

第二次世界大戦後の日本の高度成長期を支えてきたのと同様に物流、トラック輸送は世界の変革の大きな流れのなかでこれまで以上にパワーを蓄え、日本の大きな変革を支えていかなければならないのです。

 

物流を中心に活躍する貨物自動車であるトラックの普通免許で運転できる範囲が2007年、2017年を境にして変わっています。

 

これから運送業界で自身のチャレンジをお考えの方、これからプロのドライバーとしてステップアップをお考えの方に、この自動車免許の変遷とその意味をご確認いただくことはプロドライバーとしてトラック輸送に従事されていくために余計なことではないと思います。

 

是非、この機会に再確認、再認識していただいて自身でされている日々の仕事の大切さも感じていただきたいと思います。

 

現在の普通免許に至る二回の改正の歴史

 

一回目の改正である2007年(平成19年)6月1日までの自動車運転免許証の区分は『普通自動車免許』と『大型自動車免許』の二種類しかありませんでした。

車両総重量8トンを境にして、8トン未満が普通免許として定義され、8トン以上の大型免許しか運転免許の種類はありませんでした。

 

そして、2007年(平成19年)6月2日と、2017年(平成29年)3月12日に道路交通法の一部が改正されて中型免許と準中型免許が創設されたのです。

それに従って普通免許の運転可能な車両区分は改正されました。

 

①2007年(平成19年)6月1日までの普通免許で運転できるトラック(車両区分)

車両総重量  8トン未満
最大積載量  5トン未満
乗車定員数  10人以下

 

この2007年(平成19年)6月1日までに普通免許を取得された方にはこのルールが適用され続けます。普通免許は『8トン限定中型免許』となりました。

免許証摘要欄に「中型車は中型車(8t)に限る」と表記されています。

 

②2007年(平成19年)6月2日に道路交通法の一部が改正されて中型免許が創設されました。
(2007年6月2日~2017年3月11日までに免許を取得された方)

これによって定められた普通免許で運転できるトラック(車両区分)

車両総重量 5トン未満
    最大積載量     3トン未満
 乗車定員数   10人以下

 

この改訂により自動車免許は、大型免許・中型免許・普通免許の三種類となりました。

この期間に普通免許を取得された方は『5トン限定準中型免許』となり、免許証摘要欄に「準中型車は準中型車(5t)に限る」と表記されています。

 

※補足説明

ちなみにこの改正の理由は『貨物自動車(トラック)による事故の防止を図るため』でした。

それまで普通免許を所持していれば、運転経験は関係無く車両総重量8トン未満、最大積載量5トン未満のトラックが運転出来ました。しかし、普通自動車とは車長、車幅、重量も違うトラックの運転は容易ではなく事故が多発したのです。

 

それを受けて道路交通法が改正され、中型自動車免許が新設されたのです。取得には年齢20歳以上、普通免許保有通算2年以上というルールが加えられて事故の防止につなげたのです。

 

③さらに、2017年(平成29年)3月12日に道路交通法の一部が改正されて準中型免許が加わりました。これにより自動車免許は、大型免許・中型免許・準中型免許・普通免許の四種類となりました。

2017年(平成29年)3月12日以降に取得した普通免許で運転できるトラック(車両区分)

車両総重量    3.5トン未満
最大積載量    2トン未満
乗車定員数   10人以下

 

※補足説明

時代の流れとともに交通量は増加し環境面への配慮・対策やドライバーや歩行者等の第三者への配慮の安全面のために備えられる装置は増えて、当然な成り行きで車両総重量は増加しました。

 

それによって、普通免許で運転できる車両(トラック)の運転は限られるようになり、中型免許証取得が必要になっていきました。

 

しかしながら、中型免許の取得が出来るのは20歳以上で、普通免許取得日から通算で2年経過しないと、免許取得試験の条件を満たさないため受験できませんでした。

そして、各種トラックのうち習得技術に時間を要する車両はこの中型トラックの車両総重量5トン以上のトラックが多かったのです。

 

もともと、この免許改正で中型免許が生まれる前から製造されていたトラックだったからです。(電気工事・通信工事に使用される高所作業車、生鮮食品を運ぶ冷凍冷蔵車、パワーゲートを装備した配送用トラックなど)

 

現実的にはもっと問題はありました。免許制度が世の中の実情に合わなくなってしまったということです。 『免許改正によって業務上必要な車両の運転が出来なくなる』、『若者の自動車離れによって免許を取得しなくなる』などの問題は社会の高齢化による働き手不足、ドライバー不足に拍車をかけたのでした。

 

普通免許取得後の2年間の制限は高校卒業で就職する若者たちの職業の選択の制限にもなり、運転及び業界特有の技術習得に時間を有する運送業界、建設業界では人で不足の現実に加えて、業界の将来の不安にまでつながりました。

 

実際、この中型免許創設には全国高等学校長協会が免許制度の改正を強く求めていました。

そんなこともあって18歳で取得できる準中型免許が登場したのです。

 

トラックの最大積載量と車両総重量

 

ここまでで世の流れによって自動車免許制度は改正され、普通免許の運転可能な車両区分が変わったこと(狭くなったこと)がお分かりいただけたと思います。

2017年(平成29年)3月12日以降に取得した普通免許で運転可能なトラックの最大積載量は2トン未満、車両総重量は3.5トン未満と定められています。

 

この最大積載量は車両総重量-(車両重量+乗員定員数×55キロ)の計算式で算出できます。よって、この最大積載量は車両重量と乗員定員数で変わってきます。

 

この最大積載量、車両総重量が定められている理由は、トラックの重量によって道路の劣化は早まり、補修や再整備の必要性が出てくるためです。そして、過重な積荷によりバランスを崩し横転する事故を未然に防ぎ、ドライバーを危険から守るためです。

 

車両総重量は車両や積荷の重量と乗員定員数の体重などを含めた全ての重さとなります。

 

車両総重量=車両重量+乗員定員数×55キロ+最大積載量の計算式で求めることが出来ます。

 

正確には自動車検査証で確認してください。

1キロでもオーバーすると種別外無免許運転として行政処分(免許取消しなど)として扱われますのでご注意下さい。

 

 

普通免許で運転できるトラック

 

 

これまで見てきた免許制度の改正で2017年(平成29年)3月12日以降に取得した普通免許で乗れるトラックはかなり限定されました。

しかしながら、車両総重量3.5トン、最大積載量2.0トン未満であれば問題なく現行の普通免許で運転出来るのです。

 

そして、過去二回の免許制度改定により限定はされていますがそれぞれ普通免許(『8トン限定中型免許』と『5トン限定準中型免許』)で乗ることの出来るトラックがあります。

 

2007年(平成19年)6月2日改正                 慣習的な呼称

車両総重量8トン、最大積載量5トン未満 『8トン限定中型免許』  ⇒4トン車

2007年(平成19年)6月2日改正

車両総重量5トン、最大積載量3トン未満 『5トン限定準中型免許』 ⇒2トン車

2017年(平成29年)3月12日改正

車両総重量3.5トン、最大積載量2.0トン未満『普通免許』   ⇒1トン車、1.5トン車

 

各改正時期で取得した普通免許で運転できるトラックトラック業界で慣習的に最大積載量で4トン車(中型車)、2トン車(小型車)、1.5トン車、1トン車などの通称で呼称し、それだけ積載可能かと思いがちですが、あくまでも通称ですからご注意ください。

最大積載量は自動車検査証で確認するか、義務付けとなっているトラック後部の『最大積載量表示』を確認してください。

 

前項で説明した『トラックの最大積載量と車両総重量』の通り車両総重量は、車両重量に加わる架装設備によって変わってきます。特殊作業用設備やドライバー・第三者用安全設備が加わることで通称の4トン車、2トン車などより少なくなる事の方が多いのです。

 

トラックには多様多種なスタイルが存在し、日常生活においても、もちろん業務用としても利用可能なトラックがあればその用途に合えば重宝この上ないものです。

大量輸送が出来ない街中の狭小道路を走る際や、駐停車を繰り返しながらの作業を必要とする配達業務においてはむしろ利便性は高まります。

 

メーカー各社は改正後の普通免許で運転の出来る小型トラックも開発しています。

 

 

【各メーカーの小型トラック】

◆2トントラック(準中型免許対応トラック)

 

キャンター(三菱ふそうトラック・バス)


20世紀に入ってからグローバル企業であるドイツのダイムラーグループの傘下に入った三菱ふそうトラック・バス㈱です。左折巻き込み事故のリスクを低減させる三菱ふそう独自のアクティブ・サイドガード・アシストを日本で初めて小型トラックに標準装備しています。

低燃費でも定評がある2tトラックのキャンタ―は安全ばかりでなく経済性と環境にも力を入れて、新しい安心の走りをキャンターから始めようとしています。

 

デュトロ(日野自動車)


トヨタグループ傘下であり、トラックシェア国内第一位に位置する日野自動車㈱は自社が掲げる基本理念『もっとはたらくトラック・バス』『豊かで住みよい持続可能社会』に基づき隊列走行・ロードトレインによる高効率な大量輸送に向けて国内をリードし、成長を続けています。「トントントントン日野の2トン♪」のCMで子どもにも名前を知られている日野自動車の2tトラックのデュトロは「スマートで走りやすく仕事ができる車」をコンセプトに市街地での輸送にその力を発揮しています。

 

エルフ(いすゞ自動車)


日本で最古の自動車メーカーのいすゞ自動車㈱、通称『いすゞ』は、1916年創業、『道を拓き、街を創り、人が暮らす』という『いすゞ』の相言葉です。そして、その発展に必要不可欠なのは『運ぶ』力であり、商用車とディーゼルエンジンのプロフェッショナルとして最先端の『運ぶ』力で世の中を支える、といすゞは邁進し続けています。

いすゞの2tトラックエルフは標準ボディだけではなく、セミロング、ロング、超ロングまで揃えてお客様のニーズに対応しています。

 

カゼット(UDトラックス)


『トラック戦国時代』に巻き込まれた形で『UDトラックス』は翻弄されています。

現在はいすゞグループのUDトラックス㈱です。小型トラックのシャーシに中型車用のボディーを搭載することによって中型トラック以上の積載量を確保し、車両価格を抑えたり、燃料費を節約でき、多くのドライバーに支持されています。

多様化する近距離輸送や都市内配送に向けて、既成の枠を超えることをコンセプトに生まれた2tトラックカゼットは時代の流れに即応したトラックです。

 

◆1トントラック(これから普通免許を取得して運転可能なトラック)

 

タウンエーストラック(トヨタ自動車)


車両総重量2,080キロ  最大積載量 750キロ

 

バネットトラック(日産自動車)


車両総重量2,415キロ  最大積載量1,000キロ

 

ボンゴトラック(マツダ)


車両総重量2,525キロ  最大積載量1,000キロ

 

1トントラックは法改正後に普通免許取得をされた方が運転出来ますので業務における際には即戦力となります。

 

ワンボックスカーとほぼ同じサイズとなりますので、街中でも駐停車はしやすく駐車スペースも見つけやすく効率的な作業を行うことが出来ます。

作業床高も中型・大型トラックのように高くないので作業はしやすくなります。

 

使用の仕方によってさまざまな場面で重宝なサイズのトラックです。

 

 

◆普通免許で必ず運転できる軽トラック

2017年(平成29年)3月12日以降に取得した普通免許で必ず運転できる軽トラックです。

各社生産の軽トラックの最大積載量は350キロ、最大積載量は多少の差異はあるものの1400㎏以内です。

 

よって普通免許で運転出来ます。

一般的な軽トラックは二人乗りで、荷台の割合が大きいため、大量の荷物を運ぶのに適しています。

単身者の引越しには荷物の量からするとちょうどよく、農作業においては泥の付いた農機具や収穫物を運ぶのに大変重宝です。

 

◆軽トラックの荷台のサイズ

一般的な軽トラックの荷台のサイズと、1トントラックの荷台のサイズを比較してみます。

 

軽トラック  1トントラック 差異
1410mm 1600mm  190mm
長さ 2030mm 2030mm  190mm

                 

驚くほどの違いはありません。一回りほどの違いがある程度でしょう。

そう考えると維持費の安い軽トラックを選択する場合もあり得ることでしょう。

 

◆軽トラックのメリット・デメリット

(メリット)

・燃費のよさ

・たくさんの荷物が運べる(軽トラックの最大積載量は350kg)

・維持費の安さ

・荷物の積込みや積降ろしの楽さ

・汚れた荷物でも気にせず運べる

・4WD存在、用途で選択可

・小回りが利くこと

 

燃費・維持費が安いことが一番のメリットになります。

たくさんの荷物を運べるとしましたが最大積載量は350㎏ですから小型トラックの1トン、2トンと比べると運べる量は当然少なくなります。

 

(デメリット)

・室内空間の狭さ

・走行中の振動の大きさ

・リクライニング機能がない

・後輪が軽いためスピンしやすさ

・エンジン音がうるさい

 

このデメリットから分かるように、長距離の走行には向かないでしょう。

そして軽トラックのエンジンは座席の真下にあるのでエンジン音が伝わってきて走行中にうるさいことも頭に入れておきましょう。

 

◆軽トラック人気3車種

ダイハツ ハイゼット


1960年販売開始。選べるカラーも多くあり、軽トラック初の「衝突回避支援ブレーキ」を採用しています

 

スズキ キャリー


1961年に販売開始となりました。1971年から2009年まで日本において一番売れた車種です。低価格や耐久性の高さであることも人気の理由です。加えて農繁仕様という農家向けに特化した販売方法が受け入れられて、根強い人気を誇り続ける軽トラだといえるでしょう。

 

ホンダ アクティ


1977年ホンダが製造、登場しました。リフター付きや保冷庫を搭載しているなど、特装車も販売しており、多くのニーズに対応している軽トラックです。

 

◆アメリカで人気の軽トラック

アメリカ車とサイズ、燃費などまったく違うことが人気の理由となっており、農家での実用向けから自動車愛好家用と広くアメリカで好まれています。

アメリカでもっとも人気のある日本車のトヨタスープラ、日産スカイラインに次いで三番目に軽トラックがあがっているそうです。

 

日本人の体形に合わせて作られた軽トラックに大きな身体を押し込んで運転する姿はほほえましいものを感じますね。

 

 

準中型免許について

 

世の中の要請に応えて制定された準中型免許について少し詳しく見ておきたいと思います。

2017年(平成29年)3月12日に道路交通法の一部が改正されて制定された準中型免許は若い方々がトラックドライバーの仕事に従事しやすいように新設されたもので普通免許の先に保有をせずとも18歳で取得することが可能です。

 

取得方法

従前の普通免許を保有する方(2007年6月2日~2017年3月11日までに免許を取得された方)

・限定解除により準中型免許を取得できます。「5トン限定準中型免許」の5トン限定を解除するために

①指定自動車教習所で4時間の技能講習を受けて技能審査に合格する。

②もしくは運転免許試験場で限定解除審査に合格する。

いずれかの方法があります。

 

2017年3月12日以降初めて免許を取得する方

①最初から準中型免許免を取得する

指定自動車教習所を卒業後、運転免許試験場で学科試験及び適性検査に合格する。

②普通免許(MT)を取得してから準中型免許を取得する(段階取得)

この場合再度指定自動車教習所を卒業後、運転免許試験場で適性検査に合格する

(6時間多くの技能講習を受ける必要がある。)

準中型免許は当然、普通自動車も運転出来るので、将来的に準中型免許が必要になりそうな方や時間と受講料の負担に余裕のある方は、最初から準中型免許免を取得した方が余計な労苦もなくお得です。

 

準中型免許のQ&A(全日本トラック協会抜粋)

Q なぜ車両総重量が7.5トンになったのですか?

A EUの免許制度を参考にしたことや、車両総重量が7.5トンを超えると死亡事故が際立

って高くなることが大きな問題になりました。実際、エアブレーキや後写鏡などの車の構造が大きく変わることで運転感覚も異なり、相応する高い運転技術が求められます。トラックメーカーもラインナップの名称を変えるなど、車両総重量7.5トンは車格が変わる大きな分岐点と言えます。

 

Q 従来の普通免許はどうなりますか?

A  2007年6月2日以降、2017年3月11日までに取得した普通免許は、自動的に5トン限定の準中型免許とみなされ、車両総重量5トン未満のトラックの運転が可能です。さらに運転免許試験場で限定解除試験に合格するか、指定自動車教習所で4時間の技能講習を受けて技能審査に合格すれば、7.5トン未満のトラックが運転できるようになります。

また、5トン限定準中型免許を保有する人が中型免許を取得する場合の指定自動車教習所における教習時間は11時限に、また、大型免許を取得する場合は26時間となり、これまでよりそれぞれ4時限短くなります。

この世代に属する普通免許保有者は男女含めて1千万人以上とされますので、今後のトラック運送業界にとって、人材確保の大きなターゲット層に該当します。

 

Q 準中型免許でも、取得後1年間は初心者マーク(初心運転者標識)が必要ですか?

A 運転経験が無い準中型免許自動車を運転する場合には、初心者マーク表示義務の対象となります。ただし、準中型免許取得者が普通自動車を運転する場合は表示義務の対象となっていません。また、初心者マークを付けた普通自動車に対して葉、側方への幅寄せ、または追突防止に必要な車間距離保持のために進路変更をしてはならないことになっていますが、初心者マークを付けた準中型このような保護対象になりません。

 

Q 準中型自動車の反則金などはどのようになりますか?

A 準中型自動車の反則金や放置違反金は、普通自動車より車格が大きいものとして区分され、大型自動車等と同額とされています。

 

 

物流流業界・建設業界(トラック業界)の過去からこれまで

 

さかのぼれば、日本の陸上運送の基盤はすでに江戸時代には出来上がっていました。

人力と馬力による『伝馬と助郷の制度』という人馬の力による配送システムでした。

 

明治政府はこの『伝馬と助郷の制度』という日本全国に広がるある意味確立した物流システムを利用して資本主義国家の礎を作ろうと考えたのです。

1872年明治5年、今からすでに150年前に明治政府は現在の『日通』の前身である『陸運元会社』と話し合いを行い、国の行う配送システムと民間企業で行う配送システムの住み分けをしました。

 

日通の前身である『陸運元会社』は他の民間企業と共に『定飛脚陸送会社』を作りあげており、明治政府の立ち上げた郵便事業と競合していたのです。

日本国の成長を目指す明治政府は無駄な競争をして無駄な時間を費やしている時期ではないと判断して、話し合いのうえ『定飛脚陸送会社』に郵便事業から手を引くよう働きかけたのです。

 

その引き換えに、『定飛脚陸送会社』は明治政府から郵便事業における運送業務を請け負うこととなりました。

『運送』に特化した日本通運、『日通』の前身であるこの社名通りの『陸運元会社』の誕生となりました。

 

時代は流れ、人々の生活が豊かになるとともに運送しなければならないものはその量ばかりではなく多種多様に数も増えていきました。

そして、その要求に合わせてさまざまな種類の『トラック』が誕生してきました。

 

1907年(明治40年)に警視庁が『自動車取締規則』を施行して東京では運転免許取得者だけが自家用車を運転できるようになりました。

 

自家用車と呼んでいても運転免許取得を必要とするのは会社の運転手などの業務で運転に従事する人に限定されていました。ちなみに運転免許取得第一号は財閥である三井家に馬車の御者(運転手)であった渡辺守貞さんという人であることはわりと有名な話です。

 

警視庁の記録によると自動車取締規則が発令された初年度での自動車登録台数は警視庁管内でわずか16台だったとされています。

 

そしてそれから10年ほどかかり運転免許は全国に広がります。

1919年(大正8年)に全国統一の交通法規「自動車取締令」が施行されました。

当時世界中で『フォードモデルT』が人気を博し、日本国内でも国の後押しによって大量生産車が普及してきたのです。

 

この自動車取締令は甲種と乙種に分かれており、甲種はどの車両でも運転でき、乙種で運転できるのは特定自動車や特殊車両に限定されていました。

そして、自動車取締令では自動車を所有していることが必須で、免許は更新制ではなく5年ごとの再試験でした。

 

その後、業務用の免許が1924年(大正13年)に登場します。自動車運転手試験規則が制定され「就業免許」と呼ばれました。

 

鎖国されていた日本は開国と同時に産業革命後にすでに蒸気機関からエンジンまで発明していた先進国に負けるな追い越せの勢いで法律や生活様式、産業までものすべてを変革していきました。

 

・大型商用自動車(トラック)メーカーの発祥時期

日本で最古の自動車メーカーの「いすゞ自動車株式会社」通称『いすゞ』は、1916年(大正5年)創業。

いすゞ自動車㈱は元々国策による国内自動車製造の振興のため、鉄道省の協力のもと始まった自動車開発の流れのなか、1934年(昭和9年)には商工省標準形式自動車を伊勢神宮の五十鈴川に因んで「いすゞ」と命名し世に送り出しました。

戦後、国内復興のためトラックを走らせた実績が『いすゞ』の自負であり、自車の使命感でもあります。

 

日産自動車㈱は1935年(昭和10年)日本初の大量生産自動車工場を横浜に始動させました。

『日本を支える会社になりたい』創業者の鮎川義介は、個人名を会社名にはせず、『日本産業株式会社』という企業グループからその名を命名しました。

個人の利益を追求するのではなく、日本全体の産業を活性化させたいという決意で日産はスタートしています。

 

日野自動車㈱、通称『日野』は、トラックやバスなど商用車専門の自動車製造会社です。

1942年(昭和17年)に、前身である「東京瓦斯電気工業株式会社」の自動車部門であった日野製造所が独立し、スタートしました。

 

以上の三社は1911年(明治11年)技術者橋本増治郎により快進社自働車工場が東京広尾で創業され、そこから独立しています。ちなみにその創業地は、その後総理大臣になった吉田茂の所有地でした。

 

このように国の基幹産業である物流、トラック業界は国策として、そして多くの財界人も巻き込んで成長してきたのです。

 

・建設業界での建設車両の活躍

第二次世界大戦後(1939年– 1945年)荒野と化した日本国土をマイナスから復興に導いた立役者が各種の建設車両です。

主として大型車両である建設車両のダンプカーや生コンミキサー車などが無ければ日本の早期の復興はあり得ない事でした。

 

東京では山手線内に初めて敷設された地下鉄である丸ノ内線、東京オリンピック開始に向けての東海道新幹線と東名高速道路、そしてどの産業にも不可欠な電力を発電する巨大ダム作りなどが一斉に行われたのです。

 

携わる技術者たちは建設車両を日々進化させ、新しい建設車両を誕生させました。

現在では日本のその技術は海外にまで広がり、日本国内においては市街地の狭小なエリアでも建設作業を行うことの出来る建設車両も登場しています。

 

普通免許の改正によるこぼれ話

 

・地域における消防団のポンプ車運転不能事態の発生

地方に行くほど、万が一の火災時にすぐに対応できる消防団の存在が重要になります。

しかしながら、近年の『少子高齢化』や『若者の地元離れ』などで過疎化が進み消防団の団員の確保が非常に難しくなっています。

 

そこに追い打ちをかけるように、2017年(平成29年)3月12日に道路交通法の一部改正による準中型免許の登場はもう一つの問題を生んだのです。

 

消防ポンプ車は車両総重量3.5トン以上の車両が多いのです。

ただでさえ若者が集まらない消防団ですが、いざ、火事だという場合はやはり体力のある若者に中心になって活躍してもらわなければならないのです。

 

準中型免許の登場は運転手を減らしてしまうことになりました。この対策として準中型免許の取得を市町村の助成金を受けて促してもいますが、ボランティア活動としての消防団の活動に自分の仕事やプライベートまで削って自動車学校に通うことは現実的ではありません。

 

全国の消防団が所有するポンプ車は5万台以上あり、そのうち準中型免許が必要なのは36%以上に及ぶそうです。

消防庁は次回ポンプ車を買い替える際に小型車両のポンプ車を勧めているそうであるが、いつ起きるか分からない火事の対応をする消防団相手に悠長な話をしています。

 

・キッチンカー(フードカー)

キッチンカー(フードカー)は固定の店舗を持たなくとも、食品衛生責任者としての許可さえ受ければ始めることの出来る比較的ハードルの低い飲食業です。

キッチンカーには、軽自動車から大型トレーラーの牽引車まで、多種の車両が利用されており、扱う料理によって調理器具やガスボンベ、水回り品と意外に重量のある設備を装備するので当然車両総重量は重くなります。

2017年(平成29年)3月12日に道路交通法の一部が改正されて普通免許での車両のキッチンカーとしての利用に制限が生まれてしまいました。

キッチンカーは味とお客様の満足を売るためにどこにでも移動できる調理場です。

設備の制限や新たな中型免許の取得にかかる費用は最終的に料理の原価にかかってきて高い商品をお客様に提供することになってしまいます。

固定の店舖が持ちたくとも持てずキッチンカーによる地道な商売でその資金の獲得を目指す調理師たちの夢を奪ってしまっているようです。

 

・キャンピングカー

やはり、キャンピングカーにも2017年(平成29年)3月12日に道路交通法の一部が改正されて、それ以降に普通免許を取得された所有者や利用者に戸惑いが生まれているようです。

キャンピングカーの場合は車検証に最大積載量が記載されませんので、考慮する必要はありません。車検証に記載されている車両総重量が3.5t未満かを確認しての判断になります。

二回に渡った道路交通法一部改正による免許の種類と運転可能な車両区分の変更は思いもしなかった方面にも波紋を広げたようです。

 

 

『普通免許で運転できるトラック』について考える

 

この二度にわたる改正は世の中の発展による弊害とも言える交通事故や業務中の事故を未然に防ぎ、出来得る限り減少させるためでした。

そして、その流れに沿ってメーカー各社は各トラックに改良を加えて社会に、環境により優しいトラックを創り出していきます。

 

現在、日本の人口減少に加えての少子高齢化は生産労働人口の減少を招いています。

『働き方改革』に反する劣悪な環境を作ってしまいかねない方向に進もうとしています。

 

これらを考えあわせるとこの二度に渡った免許改正も日本の未来を見据えての改正なのかも知れません。

これから大事なのは若い力です。それを発揮する若者を徐々に育て上げるための改正と考えてもいいのではないでしょうか。

 

物流・トラック運送にしても建設業にしても3Kの若者が喜ばない業界です。

しかしこのコラムで過去を振り返ったように物流・トラック運送、建設業は日本という国の基幹産業であり、今の安泰の日本があるのもこの縁の下の力持ちがいてくれたからのことなのです。

 

これから先の未来の日本を支えていくのも私たちだと物流・トラック運送、建設業に従事する若者たちに胸を張って日々の仕事をしてもらいたいものです。

そして、普通免許で運転できるトラックもより良い日本の未来のために寄与していると考えてもらいたいものです。

 

 

2020年10月26日、菅首相はその所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と世界にむけて宣言されました。

物流・トラック業界、自動車業界も含めて、車両製造過程における二酸化炭素排出を含めて、二酸化炭素排出のもととなる排気ガスを2050年にはプラスマイナスゼロにすることを目指す宣言です。

 

日本における貨物輸送の9割以上のトラック輸送の排気ガスをゼロにすることはなかなか簡単なことではないでしょう。

しかしながらこの宣言は撤回されることはあり得ず、ESGに重きを置く株主や投資家たちの目はすでにそれに向けて動き出し、自動車業界もやっとその腰を上げて、過去に培った独自の技術を。打ち出してきています。

※ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を意識した取り組みであり、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けたプロセスの1つです。

 

日本だけで完結しない世界が直面している最重要課題である『地球温暖化』という環境問題を解決していくための『社会変革』であり逃げることは出来ないのです。

 

そして自動車産業界には100年に一度の変革となるかも知れない再編や異業種の参入を促し自動車業界・運送業界地図を塗り替えていくかもしれません。

 

すでに動き出した止めることの出来ないこの流れに乗り、明るい未来をつかみ取るために脱炭素化に対して出来ることと、脱炭素化されたあとに出来ることを企業として、個人として考えていかねばなりません。

 

 

◆企業として考える脱炭素化

企業で出来得る脱炭素化を考えてみます。モノを運ぶ運送業の世界の脱炭素化は考え方は簡単です。

人馬の力に頼っていた時代に、産業用に自動車がまだ使われることのなかった頃に戻ればよいだけのことです。

 

しかしながら、出来ぬことを考えても仕方ありません。

物流システムの浸透とITの発達により、ここまで便利になった私たちの生活を簡単に変えるわけにはいきません。

 

ここで、国も推進しようとしている脱炭素化に役立つと言われるモーダルシフトについて考えてみたいと思います。

トラックなどの化石燃料を消費する貨物輸送を環境負荷の量の少ない電気で走る鉄道や、大量の荷を一度に運ぶ船舶の利用へと転換していく取り組みです。

700万台以上ある国内のトラックのエンジンが二酸化炭素を発生させ、それはオゾン層を破壊し地球の環境破壊につながります。

その考えに基づいてモーダルシフトは推進されることとなります。

 

『モーダル』とは英語の『モード・mode』で『方法』のことです。

環境保全と経費の削減を輸送方法の変換で可能にします。

 

貨物列車や船舶は定刻、定時間に走行・移動し、決められたステーションからステーションへしか移動出来ません。フレキシビリティに欠けるのです。このモーダルシフトがなかなか進んで行かない理由です。

 

日本における現在の物流の興隆の最大の要因はインターネットの発展によるEC事業における『B to C』での物流量の増大です。

今日インターネットを利用して発注すれば最短で明日には手元に届くようなEC事業にモーダルシフトは向かないのかも知れません。

 

モーダルシフトの利点でも弱点でもある定位置に存在するターミナル、コンテナヤードまでしか出来ない輸送には課題にラストワンマイルが残ってしまいます。

そして、その課題を処理するためのトラックにとってそのターミナルがラストワンマイルを実行するために地理的に適地であり、物理的に十分な作業場所が確保できるのかわかりません。

 

今後実用化されていくEVやFCVのトラック隊列走行のための既設や計画中の高速道路の適地にコンテナステーションを併設するほうがより実現性は高いと思われます。

 

運送・トラック業界の各社が現在、脱炭素化に向けて出来ることは、先を読んでのより良い投資でしょうか。

現時点で新しいトラックを揃えていくことに前向きに検討出来るのは一部の大手企業ばかりでしょう。

 

世界の流れになか国が決めたこと、これに従わないわけにはいきません。

少しでも早い時期に効率的な投資を考えていくことが得策に思われます。

 

今後出てくるであろう助成金などを見逃さないことです。

脱炭素化に向けて出来ることは効率的に投資が出来るように関係省庁やトラック協会などからの情報収集になるでしょう。

 

サプライチェーンも変わる可能性はあるでしょう。

一連の流れに欠くことの出来ない運送に各企業が何を求めるのか、それは隊列走行を使っての大量輸送なのか、ラストワンマイルでの手法になるドローンやロボットを駆使したAIを使った配送なのか。

やはりここでも効率的な投資に向けての情報収集が重要になるでしょう。

 

そして、脱炭素化と同時並行で出来ることは『働き方改革』への取り組みです。運送業界を3Kの代表選手のように言われる汚名挽回をするチャンスです。

これらの取り組みは経済の課題でも社会の課題でもあり、脱炭素化への取り組みは取りも直さず地球温暖化防止のためなのです。

 

これらの課題同士が密接に関係しあっています。私たちが生活しやすい社会を私たち自身で作っていくのがこれから迎えるべき時代でしょう。

たくさんの情報が入り乱れるなかで、この脱炭素化に関する情報は日々私たちのもとに届きます。

 

そんななかで全体を見渡して、全体を関連付けて考えなければなりません。

そして、この先間違いなくやって来る将来に備えての効率的な投資を考えながら情報収集当たるべきです。

 

◆個人として考える脱炭素化

そして、この『脱炭素化』は我々や我々の家庭にまで大きな変化を起こすでしょう。

ロウソクから電気の時代に移った100年前の変化とは違います。

目が覚めるような、私たちの生活が音を立てて変わっていくような感覚を持つ大きな変革ではありません。

今回の変革は私たちがこれまでに失ってしまったものを取り戻したり、不要なものを取り除いたり、科学の力で整理するような大改革となるでしょう。

 

化石燃料発電から再生可能エネルギーへと電力は変わらねばなりません。

再生可能エネルギー(Renewable Energy)は、太陽光を筆頭に風力や地熱や波力などの自然界に常に存在するエネルギーのことです。

三つの大きな特徴である「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない」を持っています。

 

それらに従って産業界ばかりではなく社会における実生活も変わることでしょう。

自家用車や公共交通機関はEVやFCVに変わり、健康促進も含めて徒歩や自転車などの交通手段も奨励されるかも知れません。

各戸の電灯はLED化して、個人宅にも省エネ設計の波が押し寄せることでしょう。

 

この脱炭素化は私たちの生活を本来人間が生活すべき形に戻してくれることでしょう。

豊かな自然を取り戻すことが出来て、子ども達は自然のなかを遊びまわることでしょう。

 

これからESGやSDGsを大切に活動する会社に投資して来たるべき豊かな生活を迎え入れたいものです。

 

そして、『自動運転』も大きく世の中を変えていくことでしょう。

まずは一番の目的である交通事故という悲劇はこの世から無くなることでしょう。お年寄りは安心のもと病院通いをし、自分の意思で移動をすることが出来るようになるでしょう。

すべては豊かな生活を安心と共に生み出すことになるでしょう。

 

企業、個人としての利益の追求は当然なされなければならないことです。

そしてその前に運送業における、必要とされるモノを目的地まで届けるというミッションは『脱炭素化』によって物流の方法に変化があろうとも、いつまでも変わることは無いことを再認識し、『脱炭素化』に大きくかかわるのは『運送』、世の中を支える物流というシステムを支えているのは『運送』であることを併せて強く再認識していただきたく思います。

 

運転免許制度の変遷は世の中がより良く変わっていくために必要なことであり、『脱炭素化』に向けての動きにおいてEV、SUV、AIがハード部門であって、運転免許の改正等はソフト部門として地道に足固めをしながら着実に未来に進むものと信じています。

 

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