ゴミ収集車のサイズはどのくらい？ それぞれの特徴や仕組みから選び方まで解説
ゴミ収集車は、家庭や事業所から出る廃棄物を効率的に収集し、処理場まで運搬する重要な車両です。街中で見かけるこれらの車両は、ゴミの種類や収集エリア、効率性に応じてサイズや構造が異なり、適切な選択が求められます。
今回の『豆知識』では、ゴミ収集車のサイズ展開や特徴、仕組み、主要な架装メーカー、そして中古車の価格相場や選び方までを詳しく解説します。購入を検討する際の参考に、ぜひ最後まで目を通してください。
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目次
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ゴミ収集車（パッカー車）とは
ゴミ収集車の正式名称は聞き慣れない名称ですが『塵芥車(じんかいしゃ)』と言います。塵芥(じんかい)とはゴミのことです。正式名称である塵芥車のほかにゴミ収集車、パッカー車、塵芥収集車とも呼ばれています。
塵芥車は国土交通省が定める道路運送車両法に定義されている特殊用途自動車の一つとして数えられています。そして、ゴミ収集車は私たちの日常生活に欠かすことができないトラックです。狭い道路の住宅地を走り、ゴミを収集するのが仕事のゴミ収集車は、2t～4tクラスのトラックにゴミ収集機能が架装されています。
ゴミ収集が基本的な用途ですが、街路樹などを剪定後、大量の枝木を収集することも可能なため、植栽業でも活躍しています。
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ゴミ収集車のサイズ展開と特徴
ゴミ収集車は、大型、中型、小型の3つのサイズ展開があります。各自治体が使用する車両は2t～4tのトラックが中心です。街中の狭小な道路を走り回り各家庭や事業所のゴミを集めて、自治体ごとに設置されている清掃工場まで運搬するためにちょうどよいのが2t～4tの小型や中型トラックなのです。大型トラックである10t車はメーカーの工場等で排出されたゴミをまとめて処理場に運びます。
機動性、積載量、コストパフォーマンスがサイズごとに異なり、収集エリアやゴミの種類に応じた選択が重要になります。以下で、各サイズの特徴と代表的なモデルを詳しく見ていきます。
大型ゴミ収集車
大型ゴミ収集車は、機動性がやや劣りますが、積載量が6t超と多く、産業廃棄物や大量のゴミ処理に適します。コストパフォーマンスも高く、長距離や広範囲の収集で効率が優れます。ただし、狭い道では扱いが難しいため、大規模事業所や郊外などの大型商業施設向けです。
・スーパーグレート（三菱ふそう）
スーパーグレートは、大型ゴミ収集車として産業廃棄物運搬に適したモデルです。頑丈な設計が特徴です。
| 項目 | 仕様 |
| 車体寸法 | 約L9.3m×W2.5m×H2.9m |
| 車体総重量 | 約22t |
| 最大積載量 | 約7.4t |
中型ゴミ収集車
中型ゴミ収集車は、機動性と積載量のバランスが良く、2～3tの積載で家庭ゴミから産業廃棄物まで対応します。コストパフォーマンスも良好で、中規模エリアや多様なゴミ収集に適しています。取り回しがしやすく、汎用性が高いサイズです。
・レンジャー（日野）
レンジャーは、中型ゴミ収集車として家庭ゴミから廃プラスチックまで対応可能です。耐久性の高い車両です。
| 項目 | 仕様 |
| 車体寸法 | 約L7.2m×W2.2m×H2.9m |
| 車体総重量 | 約8t |
| 最大積載量 | 約2t |
・ファイター（三菱ふそう）
ファイターは、中型ゴミ収集車として多用途に使用可能です。堅牢な構造が特徴です。
| 項目 | 仕様 |
| 車体寸法 | 約L6.8m×W2.2m×H2.7m |
| 車体総重量 | 約8t |
| 最大積載量 | 約1.9t |
小型ゴミ収集車
小型ゴミ収集車は、機動性が高く、狭い住宅街でも走行可能。積載量は約2tでコストパフォーマンスも優れ、一般家庭ゴミの収集に最適です。初期投資が低く、運用しやすい点が魅力です。
・デュトロ（日野）
デュトロは、小型ゴミ収集車として住宅街向けに設計され、操作性が良いです。
| 項目 | 仕様 |
| 車体寸法 | 約L5.2m×W1.8m×H2.6m |
| 車体総重量 | 約6.5t |
| 最大積載量 | 約2t |
・キャンター（三菱ふそう）
キャンターは、小型ゴミ収集車として都市部で活躍しています。コンパクト設計が特徴です。
| 項目 | 仕様 |
| 車体寸法 | 約L5.2m×W1.9m×H2.3m |
| 車体総重量 | 約6.3t |
| 最大積載量 | 約2t |
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ゴミ収集車の仕組みと構造
ゴミ収集車は、ゴミを圧縮して効率的に運搬する仕組みを持っています。投入口からゴミを入れ、内部装置で圧縮し、荷箱に詰める構造です。圧縮方式により3種類に分かれ、用途やゴミの性質に応じて使い分けられます。
圧縮形式
ゴミ収集車は最大積載量までゴミを積み込むために圧縮機能を備えています。その圧縮機能は3種類あり、そのどれもがゴミの嵩（かさ）を増やしている空気を追い出すために利用されています。
・回転板式（巻き込み式）
回転板式（巻き込み式）は、ゴミ収集車で最も一般的なタイプの車両です。リアゲートの底部から回転板がゴミをかき上げ、上部の押込板で圧縮し、荷箱の奥に押し込みます。ゴミを連続投入でき、家庭ゴミや乾燥ゴミに適します。
圧縮力は中程度で、家具や粗大ゴミも処理可能です。排出時は荷台をダンプのように持ち上げ、ゴミをスムーズに落とします。メリットはシンプルな構造でメンテナンスが容易な点ですが、湿ったゴミでは汚水が飛び散る可能性があります。
多くの自治体で採用され、効率的な収集を実現しています。回転板の摩耗に注意し、定期点検が推奨されます。
・圧縮板式（プレス式）
圧縮板式（プレス式）は、リアゲートに上下する圧縮板を備え、2段階圧縮を行います。まず下部でゴミを細かく砕き、2回目に壁面に押し付けて高圧縮し、圧縮力は回転板式より強く、家具や自転車も破砕可能です。家庭ゴミや産業廃棄物に適し、積載効率が高いです。
排出は荷台を持ち上げず、内部の排出板で押し出します。コストは高めですが、安定した需要があります。欠点はメンテナンスが複雑で、圧縮板の摩耗が早いことです。
・荷箱回転式（ロータリー式）
荷箱回転式（ロータリー式）は、円形ドラムを回転させ、スクリューでゴミを巻き込みながら圧縮します。連続投入が可能で、汚水が飛び散りにくいのが特徴です。竹や木材など特殊なゴミにも対応し、林業や造園業で使用されるゴミ収集車です。
積載性は他の方式より低く、採用は多くありません。排出はドラムを逆回転させ、荷台を少し持ち上げて行います。メリットは湿ったゴミの扱いに優れ、環境負荷が少ない点ですが、構造が複雑でコストが高いことはデメリットとなります。
排出形式
ゴミ収集車が収集・圧縮したごみを清掃工場で排出する形式は2種類あります。
・ダンプ方式
名称どおり、ダンプトラックが荷台を傾斜して積荷を一気に降ろすように、ゴミ収集車の荷台部分を傾斜させて後部開口部よりゴミを一気に流し落とす方式です。ただし、落としきれないゴミは作業員が手作業で落とさなければなりません。
・押し出し方式
収集室内に積込まれ、強く圧縮されたゴミを、押し出し板を使って開口部から排出する方式です。開口部に向かって押し出し板はスライドしてゴミを押し出しますので、ゴミの積み下ろし作業は一度で終わります。ゴミが収集室内に残ることは少ないのでダンプ方式より作業効率が高いことが特徴です。
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ゴミ収集車の主要な架装メーカー
ゴミ収集車の架装は、車両ベースに特装を施す架装メーカーが担います。主要メーカーは多様なモデルを提供し、自治体や企業に適した選択肢を広げています。以下で代表的な企業を詳しく紹介します。
新明和工業株式会社
新明和工業株式会社は、ダンプ車などの建設特装車、ゴミ収集車のような環境特装車、テールゲートリフターなどの車両関連機器の他に、パーキングシステムや産業・環境システムや航空機まで製造販売する総合機械メーカーです。
ゴミ収集車の架装では、プレス式の「G-PX」や巻き込み式の「R-PX」を製造し、都市部で使いやすいスタイリッシュなデザインのゴミ収集車を製造しています。ゴミの種類に応じたカスタマイズが可能で、自治体からの信頼は厚く、中古車市場でも評価が高い会社です。
富士車輌株式会社
富士車輌株式会社は、環境機械の専門メーカーです。ロータリー式の「ロータリープレス」や木材粉砕が可能な「APLASTAR」を提供しています。竹や大径木材の処理に特化し、林業や造園業で重宝されています。
耐久性と環境負荷の低さが評価され、中古車でも根強い需要がある車両を提供する会社です。
極東開発工業株式会社
極東開発工業株式会社は、コンクリートポンプ車をはじめとする特装車の総合メーカーです。プレス式の「プレスパック」や巻き込み式の「パックマン」を製造しています。頑丈な構造で長寿命、コストパフォーマンスも良好です。
中古車市場での流通量が多く、入手しやすい車両を製造する会社です。
株式会社モリタエコノス
株式会社モリタエコノスは、モリタグループ（消防車両事業、防災事業、産業機械事業、環境車両事業）の環境車両事業部門です。プレス式の「プレスマスター」や巻き込み式の「パックマスター」を製造、ウイルス除去液を噴射する「ミラクルキヨラV」も提供し、衛生面を強化しています。
家庭ゴミや特殊ゴミに適し、安全性と快適性を重視している会社です。
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中古のゴミ収集車の車両価格相場
中古ゴミ収集車の価格相場は、年式、走行距離、状態で変動します。大型は800万円前後、中型は400～600万円、小型は200～400万円が目安です。年式が古い、架装状態が悪い車両は値下がりしますが、信頼あるメーカーのモデルは高値維持の傾向です。購入時は動作確認が必須です。
| サイズ | 価格相場（万円） |
| 大型 | 700～900 |
| 中型 | 400～600 |
| 小型 | 200～400 |
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ゴミ収集車のサイズの選び方
ゴミ収集車のサイズ選びは、収集効率やエリア特性、ゴミの種類によって決まります。適切な選択でコスト削減と安全性を高められます。以下で、選定のポイントを詳しく解説します。
収集するゴミの量に合わせて選ぶ
積載量が多いゴミ収集車は、一度の巡回で収集できるゴミ量が増え、効率が向上します。大量の産業廃棄物を扱う場合、大型車が適し、家庭ゴミなら小型で十分です。
収集頻度やエリアのゴミ量を把握し、積載量に合ったサイズを選ぶことが重要です。
収集エリアの道幅に合わせて選ぶ
道幅が狭い住宅街では、大型ゴミ収集車が通れない場合があります。小型や中型車両を選ぶことで、狭い路地でもスムーズに収集可能となります。エリアの道路状況を事前調査し、適したサイズを選ぶ必要があります。
ゴミの種類に合わせて選ぶ
ゴミの種類は車両のサイズ選びに大きく影響します。以下で、具体的なゴミタイプと適した車両サイズを解説します。
・産業廃棄物
産業廃棄物は、廃プラスチックや木材、瓦礫など量が多く、重量は重い場合があります。大型ゴミ収集車は積載量4t超が対応可能で、特に「スーパーグレート」などが適します。中型車も最大積載量は2～4tで中規模廃棄物に適しますが、狭いエリアでは使いにくさがあります。
特殊な廃棄物（金属くずなど）は圧縮力の強いプレス式を採用した車両を選び、安全性と効率を考慮し、大型が優先となりますが、エリア特性を優先して、中型も選択肢に入ります。
・一般家庭ゴミ
一般家庭ゴミは、主に可燃ゴミや不燃ゴミで量は事業所のように多くありません。積載量2t程度の小型ゴミ収集車が適し、「デュトロ」や「キャンター」が住宅街で活躍しています。道幅が狭く、頻繁な巡回が必要な環境に最適です。
中型でも対応可能ですが、過剰なスペックになるためコスト効率が落ちてしまいます。家庭ゴミは湿気が多いため、汚水タンク付きモデルを選び衛生面が向上させる必要があります。
・危険物や有害物などの特殊なゴミ
危険物や有害物（ガス缶、スプレー缶）は、爆発リスクがあります。耐熱・耐圧仕様の中型～大型ゴミ収集車を選び、消火器やセンサーを搭載したモデルが適します。専門業者向けで、特別な許可が必要になります。
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中古のゴミ収集車を購入する際の確認ポイント
高性能で新車購入価格が高いゴミ収集車。中古のゴミ収集車を購入してみることは一つの事業上の手段となるかもしれません。中古のゴミ収集車を購入する時は大切なポイントをよく確認してください。
動作はスムーズか
動作状態の確認は中古車選びの基本中の基本です。架装部分であるゴミ収集車としての機能が完全に作動するか、すべての動作確認を行うようにしましょう。そして架装部分ばかりではなく、トラックとしての走行機能に問題がないかのチェックも行ってください。
押し込み板はすり減っていないか
ゴミ収集車は毎日働くトラックです。整備・点検を行っていてもどうしても経年劣化による部品の損傷や摩耗が出てきてしまいます。その中でもゴミ収集車に特有の押し込み板の状態確認は、ゴミ収集車を選ぶ時の大きなポイントになります。押し込み版の先端がどうしても摩耗してしまいますので、その摩耗具合の確認も怠らずに行いましょう。この摩耗が作業においてのゴミの圧縮を弱めてしまいます。
ゴミ収集車において一番肝心なパーツと言えるかもしれません。
連続単動切り替えスイッチはないか
圧縮板や回転板はモーターの動力で稼働し、一方向だけに動くものではありません。しかし、ゴミ収集に当たる作業員の巻き込み防止、安全確保のために圧縮板と回転板の稼働方向の切り替えを行えるゴミ収集車や、連続回転できるゴミ収集車を禁じている自治体もあります。
そのため、中古のパッカー車を購入の際には使用目的を考慮してこの稼働切り替えスイッチの有無を確認することが大きなポイントとなる場合があります。
内部はどの程度腐食しているか
収集するゴミがさまざまなゴミ収集車です。毎日洗車を行ってもどうしても腐食を避けることはできません。生ゴミなどから出てくる汚液は塩分も含まれており腐食を促進させます。
腐食部から汚液を外部に漏らさず、悪臭を出さないためにも内部の腐蝕具合を確認することは非常に重要なポイントになります。
排水溝はあるか
家庭ゴミの収集を行うゴミ収集車を購入される際には、排水溝の有無が大きなポイントとなります。家庭ゴミは水分を含んでいます。
水分には塩分も油分も含まれ、収集室内に溜まった水分は悪臭のもとになるばかりか、ゴミ収集車にも悪影響を与えてしまいます。そして排水溝があれば、日々の清掃やメンテナンスも楽になります。
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ゴミ収集車で注意すべき事故
ゴミ収集車は効率性が高い反面、事故リスクも伴います。安全運行のため、代表的な事故とその対策を理解しておくことが重要です。以下で詳しく解説します。
巻き込まれ事故
巻き込まれ事故は、圧縮装置が作動中に作業員や第三者が近づき、回転板やプレス板に巻き込まれるケースです。圧縮力が強く、家具や自転車を破砕するため、重大な災害につながってしまいます。
対策として、投入口にセンサーや警報装置を設置し、異常を検知したら即停止するシステムを導入します。作業員は安全距離を保ち、作業中は周囲に立ち入らないよう注意喚起看板を設置する。自治体や企業は、定期的な安全教育を実施し、事故防止を徹底します。
運転席からモニターで確認できるモデルを選ぶことも事故防止に有効です。
火災事故
火災事故は、ガス缶やスプレー缶が圧縮時に爆発し、荷箱内で出火するケースです。熱が広がると車両全体に影響し、大事故に発展してしまいます。
対策として、ゴミ投棄前にガス抜きを徹底し、危険物の分別を強化する必要があります。車両には消火器を常備し、早期消火に備えます。圧縮前に金属探知機を導入し、危険物を検出するシステムも有効です。
運転手は異常音や振動に注意し、異常を感じたら即座に停止して点検する習慣をつける必要があります。自治体は住民教育で危険物廃棄のルールを周知し、予防に努めなければなりません。
転落事故
転落事故は、作業員が清掃工場でゴミの排出中に搬出先のピットに落ちる事故です。清掃工場によってその深さは数メートルから10メートル以上もあります。
作業員と運転手の意志の疎通が悪く誘導中の作業員がバックしてきたゴミ収集車に押し出される形でピット内に転落するケースが報告されています。重大災害につながる非常に危険な事故です。
転落事故を起こさぬように運転手と作業員は十分に連携して最後まで作業を行わなければなりません。
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まとめ
ゴミ収集車は、大型・中型・小型で特性が異なり、積載量や機動性、コストに応じた選択が重要です。回転板式や圧縮板式など構造も用途で使い分けられ、架装メーカー各社の技術が支えてくれます。
中古価格はサイズで変動し、ゴミ量やエリア、種類に合わせた選定がカギとなります。事故対策を徹底し、安全運行を目指してください。
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