車のエンジンのオイル漏れとは?確認方法や原因、対処法から修理費用まで解説!

エンジンオイルは多方面からエンジンの機能を支えています。

定期点検や車検を受けていても、毎日の乗車前の日常点検ではプロのトラックドライバーとして自身の手と目でこのエンジンオイルの点検はしてもらいたいものです。

私たちが毎日バイタルチェックを行うのと同様に考えて下さい。

普段のオイルの色と粘度と量を知っていれば、オイル漏れにはすぐに気付くことができて日常の業務に支障をきたすことは無いでしょう。

今回はエンジンのオイル漏れを皆さんとともに考えていきたく思います。

目次

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エンジンのオイル漏れとは?

 

トラックの心臓部分とも言える重要なエンジン、そのエンジンはエンジンオイル無しで作動できません。

エンジンオイルは潤滑作用・冷却作用・洗浄作用・気密作用・防錆作用を持ってエンジンを支えている、なくてはならない存在です。

しかしながらエンジン本体や各部品の経年劣化や各部品の取換え修理時におけるヒューマンエラーなどさまざまな理由でエンジンからエンジンオイルが漏れだすことがあります。

このエンジンのオイル漏れに日々のメンテナンスで気付き、故障・事故などのトラブルにまで至らないようにしてください。

 

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エンジンのオイル漏れの症状・確認方法とは?

 

エンジンのオイル漏れの症状を事前に知ること、確認方法を知っておくことは修理などの次の手立てを早く打てることになります。

オイルランプの点灯の他にもさまざまな確認方法があります。

 

※過去記事です、参照してください。

『車のエンジンオイルランプが点灯したらどうすべき?点灯する原因や未然に防ぐ方法まで解説!』(2023.07.07)

 

オイル漏れの位置の確認

エンジンは数多くの部品で成り立ち、さまざまな部品が接続されています。

液体であるエンジンオイルはその部品の継ぎ目から漏れ出してしまうことがあります。

部品やつなぎ目のパッキンが経年劣化を起こしてしまったり、ヒューマンエラーによる部品の取付けが甘かったり、規定値のトルクでの締め付けが出来ていなかったりすることが理由です。

トラックの停車位置の路面のどこからオイルが漏れているのかを確認したらおおよそのオイル漏れの位置は確認できます。

路面上部のエンジン、機器類を調べてみてください。

 

漏れたオイルの状態の確認

漏れたオイルの量の状態を確認してください。

路面に水たまりができるほどの量が漏れているならば、すぐにプロの整備士の目で確認してもらい次のステップに移ってください。

こんな場合にはエンジンはかけないでください。

エンジンオイルが無くなっている状態でエンジンを作動させれば金属製であるシリンダーにもピストンにも傷をつけてしまい、大掛かりで費用のかかる修理が必要になってしまいます。

 

路面に漏れたオイルが少なくてもエンジン内部でオイル漏れが起きていて外まで出てこないことがあります。

必ずオイルゲージを抜いてオイル量を確認してください。

路面に漏れ出す以上にオイルが減っていれば、内部漏れを起こしています。

 

オイルゲージの確認

オイルが路面に漏れ出して視認してオイル漏れを確認する以上に、視覚でのオイル漏れを確認できるのはこのオイルゲージでの確認です。

上記において、エンジン内部でのオイル漏れを説明しましたが、この内部漏れの確認はガソリンとともに燃えたエンジンオイルのために白くなる排気ガスや臭いの他、点検での確認の方法はこのオイルゲージでの確認しかありません。

重要なオイルゲージの確認です。

 

エンジンのオイル漏れは2種類

 

エンジンのオイル漏れには、実は2種類あることをご存じない方は少なくないと思います。

 

1:外部漏れ

私たちが通常「オイル漏れ」と言っているのはこの外部漏れのことです。

外部漏れはエンジンオイルが外部に漏れ出している状態で、発見しやすいです。

駐車したトラックの下部にオイルだまりが出来ていればそれはエンジンオイルの外部漏れです。

オイルキャップ、ドレインボルトなどの締付けの不良によるオイル漏れであったり、エンジンと各部品のつなぎ目のパッキンやガスケットが経年劣化している場合もあります。

 

2:内部漏れ

エンジンオイルの内部漏れは、外部漏れと較べると発見しにくいです。

エンジン内部にオイルが染み出ている状態です。

外部に漏れ出ることが無いので見つけにくいのです。

排気ガスが白煙状態の場合、または焦げた臭いがする場合は内部漏れです。

ガソリンと一緒にオイルが燃えています。

そのような場合にはオイルゲージを使ってオイル量をチェックしてみてください。

明らかに減っていると分かれば内部漏れの可能性が高いです。

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エンジンのオイル漏れの原因とは?

エンジンのオイル漏れの内部漏れにも外部漏れにもそれぞれ原因があります。

その原因を知っておけばオイル漏れに出くわした時に打つ手を考えることができます。

1:バルブシールの劣化

エンジン燃焼室に入る空気の制御を行っているバルブのステムシールとも言われるゴム製のシールの劣化です。

ゴム製ですから経年劣化します。

バルブシールからのエンジンオイル漏れは内部漏れです。

なかなか判断の難しいエンジンオイル漏れです。

排気ガスの白煙の場合、まずはこのバルブシールの劣化を疑ってみてください。

このバルブシールの劣化によってエンジンオイルが燃焼室に入ってしまうのを「オイル下がり」と言います。

2:ガスケットの劣化

ガスケットとは薄板状のパッキンのことです。

素材はゴムやプラスチックで、エンジンの各所で使われています。

エンジンの部品同士の接合部からエンジンオイルが漏れ出さないようにこのガスケットが使われていますが、素材のゴムもプラスチックも経年劣化をしてしまいます。

避けることのできない経年劣化ですので理想であれば取換えをしたいところですが、エンジンの分解整備となり大掛かりで費用も時間もかかるためになかなかできません。

経年劣化が原因でエンジンオイル漏れを起こしてしまいます。

3:ドレンボルトの摩耗

ドレンボルトはエンジンオイルを抜くためにエンジンのそこに設置されたドレンのフタです。

最近ではこのドレンボルトからエンジンオイルを抜くことは少なくなり、エンジンオイルの給油口から吸い出して再び注入することが多いです。

ドレンボルトを使用する際はこのボルトを丁寧に扱うことが大切です。

同時に使用するワッシャーは再使用はできません。

新品のワッシャーをボルトをはめる際に使用しなければなりません。

再使用はオイル漏れの原因にもなります。

ボルトを規定値のトルクで締めないこともオイル漏れの原因となります。

甘い締め方はオイル漏れの隙間を作り、きつすぎる締め方はボルトを傷めてしまいます。

4:オイルパンの破損

オイルパンはエンジンの底の部分です。

簡単に壊れるような部品ではありませんが、エンジンとの接合部に敷かれたガスケットの経年劣化で接合部に隙間ができてオイル漏れが起きる可能性はあります。

オイルパンはエンジンオイルが溜まる場所です。

 

5:ピストンリングの摩耗

ピストンリングが摩耗するとその隙間からエンジンオイルが燃焼室に入り込んでしまいます。

その結果、エンジンオイルがガソリンとともに燃えてしまい、白煙を出してしまいます。

このエンジンオイルが燃焼室に上がってしまうのを「オイル上がり」と言います。

エンジンのオイル漏れが発生した際の応急処置・対処法は?

車体からのオイル漏れが確認できて、エンジンオイルの漏れだと確定が出来たら、まずは応急処置を考えて次の対処法に移ってください。

エンジンオイル漏れの量や場所によっては応急処置を施すことによって、整備工場やガソリンスタンドまで自力で移動してもよい場合もありますが、時にはエンジンをかけることによってエンジンに損傷を与えてしまう場合もあるので注意が必要です。

 

・エンジンオイルを補充して様子を見る

オイル漏れが大したことのない場合です。

オイルが染み出している場所をよく確認しておいて、ウェス等できれいに染みをふき取ってください。

その後エンジンオイルを規定量まで補充してみてください。

しばらくして沁み出す量を確認して次の対処に移ってください。

そのまま粘度の高いエンジンオイルを入れたり、添加剤を投入するのは一度このエンジンオイルを補充して様子をみる作業を行ってから実施してください。

・オイルゲージを確認する

オイルゲージはオイルの残量を調べるためやオイルの色、粘度を確認するためにあります。

このオイルゲージでの残量の確認がエンジンオイル漏れを視認する一番正確な方法です。

特に内部漏れの場合には外観からの視認では確認が出来ないことの方が多いです。

排気ガスの白煙や焦げた臭いなどでエンジンオイル漏れが疑われるならば、一度エンジンオイルを規定量まで補充してください。

それから通常どおりトラックを走行させた後にこのオイルゲージを使って残量を確認してオイルの減り方に異常がないかの確認をしてください。

 

・粘度の高いエンジンオイルを入れてみる

エンジンオイルにはさまざまな種類があり、そのなかには粘度が低い軟質なものから粘度の高い硬質なものまであります。

オイル漏れの応急処置として粘度の高いオイルを入れてみるのも一つの方法となります。

エンジンオイルには「10W-30」や「10W-40」などのように数字でオイルの硬さを表記しており、右側の数字が大きいものほど高温でも高い粘度を保ちます。

その粘度の高さがエンジン内の気密性を高め、オイルシールの隙間などからの漏れなども防いでくれるのです。

しかし、その粘度の高さはエンジンに負荷をかけて、性能を下げてしまい、燃費などに弊害が出て来ることもあります。

・添加剤を入れてみる

エンジンオイル添加剤はさまざまな種類があります。

通常その車両に合った粘度や規格のエンジンオイルを定期的にしっかりと交換していれば、大きなトラブルは起こらないのですが、しっかりメンテナンスしていても使用による経年劣化は仕方なく、エンジンの性能低下は嫌でも起きてしまいます。

その時に活きるのがエンジンオイル添加剤です。

オイルのにじみ対策用の添加剤は、劣化してしまったパッキンやガスケットを膨張させて、修復する作用があります。

オイル漏れの早い時期であるならば、この添加剤の利用も有用かも知れません。

・点検・修理をする

外部漏れでも内部漏れでもその原因がプロの整備士でなければ判明出来ない場合もあります。

そのような場合には整備工場に持ち込んで原因を特定してもらいましょう。

そして適切な修理や調整をしてもらいましょう。

しかしながら、オイル漏れの状態によっては自走での持ち込みはしない方がよい場合もあります。

オイルの無い状態でエンジンを動かせば、エンジンは焼け付いてしまいます。

そんな場合にはロードサービスに頼ってください。

レッカー移動で整備工場を利用してください。

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エンジンのオイル漏れの修理費用はいくら?

オイル漏れの箇所を特定し、特定できなくともその対処方法を決め、外注ばかりではなく時にはご自身での修理、対応もあるかと思います。

その時にどれくらいの費用を想定したらいいのでしょうか。

・オイル交換

それほどひどくないオイル漏れの場合です。

オイルを交換して様子を見て、そのまま収まる場合もあります。

このオイル交換は整備工場ばかりではなく、ガソリンスタンドやカー用品店でも可能です。

エンジンオイルのみの購入であれば500円/Lほどです。

エンジンのサイズで必要容量は当然違います。

① 小型トラックで8~10L、交換手間(工費)が1,500円ほどです。

500円×10L+1,500円=6,500円

② 中型トラックで12~15L、交換手間(工費)が2,500円ほどです。

500円×15L+2,500円=10,000円

③ 大型トラックで28~38L、交換手間(工費)が4,000円ほどです。

500円×38L+4,000円=23,000円

1万円前後から3万円くらいまで費用は必要となります。

オイルの種類や交換場所によって金額は変わってきます。

・添加剤の購入・使用

オイルのにじみ対策用の添加剤などであれば自身で購入して使用することも可能です。

さまざまな添加剤が多くのメーカーより出されています。

どれもが1本数千円です。

使用上の注意書きをよく読んで投入してください。

自身で処置できればもちろん工費はかかりませんので添加剤代だけの数千円でエンジンオイル漏れに対応できます。

・オイルエレメントの交換

オイルエレメントはトラックの心臓部であるエンジンの血液とも言えるエンジンオイルを濾過するためのフィルターです。

オイルエレメント自体は2,000円ほどで購入できます。

オイルも同時に交換した方がよいのでエレメント用トレンチ、廃油受け皿、廃油処分など専門工具や専門的な処理が必要ですからプロに任せた方が安心です。

上記オイル交換にこのエレメント及び工費が加わった費用になります。

エレメントも交換してオイル漏れに対応してください。

※過去記事をご参照ください。

『エレメントとは?オイルフィルターとの違い、交換のタイミング・方法などを解説』(2023.06.20)

・劣化パーツの交換(オイルシート、ガスケット等)

この劣化パーツの交換はプロの整備士の見立てで交換の場所や範囲が変わってきますのでなかなか修理費用の算出が難しいです。

オイルシートやガスケットは高額なものではありませんが、整備士がどれだけの作業をするかの工費の算出です。

狭いエンジンルームのなかの部品の取外しにかかる費用は整備士に任せるしかないのかも知れません。

・ボルトの締め直し

ボルトの緩みは走行の振動でも緩むこともあれば、人の手に一度かかった時の締め方が甘かった場合もあります。

整備士により、トルク値を測定しながらのボルトの締め直しは数千円ほどの費用で可能でしょう。

・エンジンのオーバーホール

エンジン本体、主要部品で劣化が見つかったり、オイル下がりやオイル上りが見つかった場合にはオーバーホールが必要になります。

その際には、エンジンを取り出して劣化部分の取換えを行うので部品代、工費で20万円以上かかる場合もあります。

オイル漏れを修理する前に考慮すべきことは?

オイル漏れにはさまざまな原因があり、さまざまな対応方法や修理方法があります。

そしてその原因の多くは経年劣化であり、完全に修復するのには高額な費用がかかってしまったり、完全修復はできないケースもあります。

商用車両であるトラックのオイル漏れの修理を行う前に、一度費用対効果をよく検討してみてください。

修理しても再び同じ個所のオイル漏れが起きることや、最も劣化している場所のオイル漏れを塞ぐことにより、次に劣化している場所のオイル漏れをひき起こす連鎖の劣化もあります。

経年劣化がオイル漏れの一番の原因であるならば、完全にオイル漏れを食い止めることはできないと考えるべきかも知れません。

オイル漏れを遅らせてトラックの寿命を伸ばすのは1つの経営としての考え方です。

思い切ってトラックを乗り換えることも1つの経営としての考え方です。

そのような費用対効果での考えをオイル漏れを修理する前にし、実は最大の費用対効果を高めるのは「適切なオイル交換である」と考えてください。

エンジンのオイル漏れを放置するリスクは?

エンジンのオイル漏れを放置するとその先にはどのようなリスクが待ち受けているのでしょうか。

1:車検に通らない

車検は道路運送車両法で定められ、車両の安全性の確保、公害防止という面から点検・整備・検査3つの工程を踏み、国が指定する保安基準を満たしているか否かのチェックです。

トラックの心臓部であるエンジンからオイルが漏れていれば当然車検は通りません。

明日から仕事ができない状態になるのですからトラック事業者にとってこれほど大きなリスクは無いのではないでしょうか。

 

2:修理費用が高額になる

ことわざにある「安物買いの銭失い」です。

少額の費用で修理できた初期のエンジンオイル漏れを「まだ大丈夫だろう、これくらいならば大丈夫だろう。」という安易な気持ちは時間が経てばその原因を悪化させ、長引かせたオイル漏れが原因になってしまい、新たな不具合を作り出してしまうのです。

そして、次の故障の原因になるばかりか、漏れたオイルが原因になって交通事故につながる可能性もあります。

エンジンオイル漏れを放置することは将来的に修理費用を高額にするばかりか、不要の費用を発生させてしまうことも想定されます。

3:漏れたオイルに点火する可能性も

そして、現実的に一番怖いのは走行中に高温になった漏れ出したエンジンオイルに何らかの原因で点火して車両火災を起こしてしまう危険性があることです。

エンジンのオイル漏れを放置するリスクとしてこれほど怖いことは無いと思います。

エンジンオイルの重要性をよく認識してください。

エンジンのオイル漏れを遅らせ車の寿命を延ばすコツはある?

エンジンのオイル漏れを遅らせることは、トラックの経年劣化を遅らせるということになります。

定期点検や日常点検が非常に重要だということになります。

トラックの日々のエンジン音を聞き、走行中のいつもの車体の振動を身体で感じながら、日々の点検で消耗品はタイミングよく替えて、整備・調整を行うことがトラックの経年劣化を遅らせることになっていきます。

今回のエンジンオイルに関して言えば、適切な時期・最適なオイルでの交換が大切であり、そのことがオイル漏れを遅らせてトラックの寿命を伸ばすコツとなります。

私たち人間の健康を維持する方法と同じだと思います。

まとめ

今回のエンジンオイル漏れは皆さんが普段から実際に心がけていることがほとんどだと思います。

オイル漏れの点検もオイル漏れへの対応も日々の積み重ねが物を言うことになってくることでしょう。

安全なトラックで安全運転につとめてください。

トラックファイブは『豆知識』でさまざまな情報をお届けして、皆さまを応援していきます。

※過去記事をご参照ください。

『トラックのエンジンオイルはこまめにチェック!エンジンオイルの交換時期とは』(2022.10.18)

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