ポールトレーラーとは?構造や寸法、資格・免許から運転時の注意点まで解説

プロのトラックドライバーに運べないものはありません。

しかし、そのプロのドライバー達が手を焼くのは一つ一つが長い長尺物の運搬です。

道路法車両制限令で決められている一般制限値であるトラック車長12mをはるかに越えた積荷をも運ぶポールトレーラーが今回『豆知識』の主役です。

このポールトレーラーの構造や寸法に加え、資格・免許や運転時の注意点までまとめて解説いたします。

 

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ポールトレーラーとは

 

ポールトレーラーはトレーラーの仲間です。

一般のトレーラーが運ぶことのできない長さの原材料や製品・半製品を運ぶことができます。

具体的には切断や分解の出来ない鉄筋や鉄骨などの鋼材、長さばかりでない非常に重量のあるPC製品の橋桁や高速道路の床板、重量もありながら運搬に繊細な注意が必要な風力発電装置の各部材や完成した鉄道車両やロケットなどがそれにあたります。

ポールトレーラーはトラクターとトレーラーをステアリングドローバーという連結器でつないでいます。

そして、このステアリングドローバーを伸縮させることによって運搬をする積載物に合わせて車両の長さを変えて運転することができるのです。

車長の長さからさまざまな種類のトラックのなかで最も運転の難しいトラックであると言われますが、トラクターとトレーラーの車輪が回転するため、実はセミトレーラーよりも運転がしやすいとの評もあります。

 

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ポールトレーラーの構造について

 

ポールトレーラーは特殊な車両ではありますが、構造は大きく4つで成り立つ分かりやすい構造です。

 

① トラクター

運転席があるキャビン側のことで、積載物と後方のトレーラーを牽引する車両部分のことです。

荷台があるタイプとないタイプのトレーラーがあります。

荷台部分にはターンテーブルがあり、自在に曲がれる構造の基はここにあります。

 

② トレーラー

トラクターに連結して牽引され、積載物を運搬する車両部分のことです。

トレーラーにエンジンなどの動力は無く、トラクターに牽引されなければ走行することはできません。

トレーラーには伸縮可能なステアリングドローバー(牽引パイプ)が備えられており、長さの違う長尺物を自在に積込める機能を生み出しています。

 

③ ターンテーブルステアリング

ターンテーブルステアリングはトラクターとトレーラー両方に装備されており、この上に積載物を載せて運びます。

ターンテーブルステアリングは自在に回転する仕組みになっているため、長尺物の積荷を積載してポールトレーラーが右左折できるのです。

 

④ ステアリングドローバー(牽引パイプ)

トレーラーに装備されているステアリングドローバーはトラクターとトレーラーを連結させるための棒状のパーツです。

これがポールトレーラーの名称のもととなっています。

積載物の長さによって伸縮が可能です。

 

・ポールトレーラーの長さ・寸法

ポールトレーラーは積載物の長さに合わせて、荷台の長さを変えられる構造を持つ長尺物の輸送に向いた車両です。

国土交通省道路局の道路運送車両法の保安基準よりポールトレーラーの定められた車長は一般道で12m、高速道路で16mです。

通行許可を申請して全長25mまで認められます。

 

この通行許可に必要となる書類は、以下の通りです。

① 特殊車両通行許可・認定申請書

② 車両内訳書

③ 車両諸元に関する説明書

④ 通行経路表

⑤ 通行経路図

⑥ 車検証の写し

⑦ 軌跡図

これらは道路の管理者へ通行許可を提出する必要があります。

 

・ポールトレーラーの架台

ポールトレーラーの架台も場合によってポールトレーラーの構造の一部となります。

ポールトレーラーの架台は取外しができる荷台の一部です。

簡単に取外しは可能で、必要な時だけにポールトレーラーにセッティングしたらいいのです。

ポールトレーラーでは積荷自体が掛け渡し台のような役割をしますが、その積荷に強度が足りない場合は、この架台と呼ばれる鉄製の台の出番となり、積荷の下に敷くのです。

ポールトレーラーの上に架台を敷きその上に積荷を載せるのです。

そうすることによって強度の足りない積載物を安心して運搬することができるのです。

そして、架台にはスタンションと呼ばれる支柱を左右両サイドに取り付けているものもあり、長さが短い荷物でもまとめておき、固縛することでポールトレーラーでの大量輸送が可能になります。

 

・ポールトレーラーの車両総重量・最大積載量

 

過積載をしないためにも最大積載量を意識することは大切です。

他のトラックと同様にポールトレーラーの車両総重量・最大積載量は下記の計算式によって求めることができます。

車両総重量=車両重量+乗車定員×55kg+最大積載量

「最大積載と定員が乗車した状態の総重量」です。

最大積載量=車両総重量―車両重量―乗車定員×55kg

「車両に積める荷物の最大限の重量」です。

ポールトレーラーにおける車両総重量・最大積載量も同様な計算で簡単に算出できます。

 

しかし、簡単に把握しようと思ったら車検証を確認してください。

容易に確認できて、しかも正確です。

車検証で確認した最大積載量の隣に書かれている数字を「第五輪荷重」と言います。

この第五輪荷重は積載物を運搬する際に連結部のカプラーが耐えられる重さを表しています。

さらに、車検証には備考欄にトラクターやトレーラーの形式が記載されています。

それを確認して、トラクターとトレーラーを連結することは言うまでもありません。

 

トラックでの輸送業を行うに当たって過積載ほど注意を払わなければならないことはありません。

事故をしてしまえば大事故につながりお客様から預かった大切な商品を失ってしまうばかりかお客様からの信用も失い、賠償が発生します。

それだけでは済まず、ドライバーの健康や生命にまでかかわります。

そして過失行為としてドライバー、運送事業者、荷主であるお客様にまで罰則が及ぶ場合もあります。

 

・ポールトレーラーの連結点の数・位置

ポールトレーラーの連結部分は1つです。

そして連結部分の位置は、荷台の有無によって違ってきます。

荷台がある場合にはトラクター後部に連結部分であるピントルフックが備えられています。

それをトレーラーの連結部分であるステアリングドローバーとつなげることが可能です。

トレーラーのステアリングドローバーにつなぐための1点の連結部分であるピントルフックはフック状になっており、簡単に掛けたり外したりできます。

荷台がないタイプのトラクターも、荷台があるタイプのトラクターと同様につなげることは可能です。

ただし、荷台がないため積載ができず、常にけん引しトレーラーと一体になっていないとなりません。

 

ポールトレーラーの荷台について

 

ポールトレーラーのトラクターの種類として『荷台あり』と『荷台なし』があります。

荷台のあるなしで、ターンテーブルの設置場所やトレーラーとの連結方法が変わってきます。

① 荷台あり

荷台ありタイプのトラクターは、荷台の前方部分にターンテーブルを載せた構造になっています。

トラクターのターンテーブルは荷台の役割だけではなく、連結の役目も同時に背負う重要なパーツなのです。

連結部分のピントルフックとステアリングドローバーは途中切り離しができません。

積荷を降ろし終えた際に切り離せるようになります。

また、連結時に使用するピントルフックは、ステアリングドローバーと連結させることも可能です。

ピントルフックはけん引時に接続するもので、簡単にフックの掛け外しを行えます。

回送時にはポールトレーラーを荷台にクレーンで吊って積載して運ぶことができます。

通常の大型トラックよりも出力の高い車両が多いです。

② 荷台なし

荷台なしのトラクターは、セミトラクターと同様な構造で、車両後方部にピントルフックの連結部があります。

トラクターとトレーラーを連結させて積荷を置くターンテーブルは第5輪に載せるため、セミトレーラーによく似た姿をしています。

しかし、ステアリングドローバーの機能により、内輪差はセミトレーラーよりも少なくできているのがポールトレーラーの特徴です。

 

回送の際は荷台がないためポールトレーラーを積むことはできませんので、トレーラー側にあるステアリングドローバーとトラクターを接続して運搬しなければなりません。

 

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ポールトレーラーの道路通行許可が必要な場合とは?

 

ポールトレーラーの道路通行許可が必要な場合は車長が一般道で12m、高速道路で16mを越える場合に道路管理者に対して特殊車両通行許可申請が必要になります。

そして、申請書類として

① 特殊車両通行許可・認定申請書

② 車両内訳書

③ 車両諸元に関する説明書

④ 通行経路表

⑤ 通行経路図

⑥ 車検証の写し

⑦ 軌跡図

以上が必要になります。

 

※他の記事もご参照ください。(2023.07.28)

『特車(特殊車両)申請とは?審査の流れや違反行為を徹底解説!』

 

 

ポールトレーラーに必要な免許・資格とは?

 

特殊車両であるポールトレーラーに大型特殊の免許は必要ありません。

トラクターには大型自動車免許が必要であり、トレーラーを牽引するために牽引免許が必要になります。

大型免許と牽引免許の二つの免許が必要になります。

 

1:大型免許

大型免許は車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗員定員30名以上、このいずれかに該当する車両に運転に必要な免許です。

非常に長く重量のある積載物を専門に輸送するポールトレーラーを牽引するトラクターは大型車両のトラクターしかありません。

大型免許の取得条件は、普通免許(MT)、準中型免許、中型免許・大型特殊免許のうちどれかを取得して3年の経過と満21歳以上であることです。

 

※過去記事をご参照ください。(2023.07.06)

『大型特殊免許とは?運転できる車両や取得方法・費用など徹底解説!』

 

2:けん引免許

大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車のいずれかで、車両総重量750kgを超える他の車両をけん引するためにはけん引免許が必要となります。

トラクターがけん引車、ポールトレーラーが被けん引車となります。

けん引免許取得のための条件は上記の大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車のいずれかの免許の保有が必要です。

取得には自動車教習所に通っての取得と一発試験での取得と二つの方法があります。

自動車教習所に通ってのけん引免許にはまずは適性検査、視力・聴力をチェックする運転適性検査に合格しなければなりません。

12時間の技能教習(学科教習は無し)、卒業試験を済ませて、運転免許試験場で申請をしてけん引免許を取得できます。

一発試験の場合、運転免許試験場で技能卒業検定を受験し、合格後に受ける適性検査もクリアすれば、牽引免許を取得できます。

費用は教習所に通う方法では、10数万円~になるようです。

地域や教習所によって差がありますので、お近くの教習所でご確認ください。

教習所によっては合宿教習も行っています。

一発試験の場合は試験代の6千円程度とかかる費用にかなりの差があり、時間もかかりません。

 

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ポールトレーラーを運転する際の注意点・コツ

 

ポールトレーラーを運転する際に是非気を付けて頂きたい注意点と運転のコツをご紹介いたします。

 

・直進するコツ

ポールトレーラーでの直進時に特に注意するべき点としては、連結による「幅」「長さ」「高さ」「重さ」があります。

長時間の運転でどうしてもそれを忘れがちになります。

事故の原因はこの4つです。

他の車両とは比べ物にならないほどの重量のある長尺物を積載していることを絶えず意識して下さい。

踏切を通過する場合にも、特にこの点を意識することが大切です。

車体の長さを忘れて無理に通過しようとしてしまえば、後方部分が渡りきれず事故を起こしてしまうかもしれません。

 

・カーブするコツ

長尺の重量物を積載しているポールトレーラーはスピードを出していなくても非常に大きな遠心力を生み出します。

急ブレーキをかければ、横転ばかりかジャックナイフ現象やトレーラースウィング現象を引き起こす可能性もあります。

そんなことの無いようにカーブに入る前には十分減速し、カーブを曲がる時のブレーキングは必要最低限にしてください。

対向車線にはみ出してしまうことの無いように常にセンターラインを確認しての走行を心がけてください。

 

・交差点での右左折のコツ

長い車体と内輪差があるために右折や左折をする際は、前方向に深く進入したのちに、旋回する必要があります。

長尺物を輸送できることはポールトレーラーの長所であり、短所でもある部分です。

特に左折では視認可能のエリアが狭くなり難しいです。

左側側面での巻き込みが無いように注意が必要です。

右折時には、対向車にも注意してください。

とにかく、曲がり切るまですべてに再確認をしながら運転してください。

信号などで停車する際には、ブレーキを強く踏みすぎてしまうことにも気をつけてください。

前輪にロックがかかってしまい、走行できなくなってしまう場合があります。

 

・左バックするコツ

目視確認の出来ない箇所・面積の多いポールトレーラーの運転操作の中でもこの左バックが一番難しいのではないでしょうか。

積載物の積み降ろしのために倉庫や工場にバックで進入しなければならないことが多々あることでしょう。

しかもポールトレーラーの場合、その都度その積載物の長さが違い、毎回車長の違うトレーラーでのバック進入をしなければならないのです。

進入口左角をねらいながら道路幅と車幅をたえず意識してトラクターでポールトレーラーを押し込む感覚でバックしてください。

連結箇所は1点ですから右にハンドルを切ればトラクターは左に曲がっていきます。

何度か切り返しも必要になるかも知れませんが、とにかく慣れるしかないでしょう。

ポールトレーラーやトレーラーの運転の一番のコツは慣れではないでしょうか。

2台のトラックを1点の連結で引いて進行し、バックする時にはその1点のみで押して後退する。

そんな感覚を身に付けていただくことがコツになると思います。

 

・ジャックナイフ現象

トラクターが急ブレーキをかけたり、急ハンドルを切った際に、トラクターがトレーラーに対し折れ曲がる現象を言います。

急ブレーキや急ハンドルでトラクターは減速したり方向が変わったりしてもトレーラーは慣性の法則で直進します。

そのままの勢いでトレーラーは突っ込んできて、トラクターは横滑りするのです。

トラックメーカーはこの対策として、横滑り防止装置や逆位相操舵機構を搭載するようになっています。

 

・トレーラースウィング現象

トラクターのヨー角がトレーラーのヨー角より大きくなってしまうことによって、トレーラーが連結ピンを中心にして横方向に振り出される現象を言います。

旋回中にブレーキや減速をした時、トレーラー側の車輪が先にロックすると、トレーラーが横滑りを起こして外に振り出される現象がみられます。

旋回時などでわずかでも左右方向の力の差があれば起こり得ます。

トラクター側が横滑りするジャックナイフ現象と対比される現象です。

 

・プラウアウト現象

トラクターとトレーラーが一直線のまま固まってしまい、ただただ前へ進んでしまう現象です。

急ブレーキを踏むことでトラクターのブレーキがロックする事が原因で起こるトレーラーが制御不能になってしまうトレーラー特有の現象です。

「トラクターフロントロック現象」と呼ばれることもあります。

この対処法としてはブレーキをかけようとしているその足を離してブレーキを緩めることです。

 

・スネ―キング現象

ブレーキや加速を急におこなったことが引き金になって生じる現象です。

操縦不能となったトレーラーが蛇のようにうねってしまうことから「スネーキング現象」と呼ばれています。

スネーキング現象が起きてしまう原因としては左右の重量のバランスが取れていなかったり、タイヤの空気圧が左右不揃いの場合です。

トレーラーの重心のバランスがとれていないことが原因で起こります。

ドライバーのスピードの出し過ぎでもスネ―キング現象は発生することがあります。

 

 

まとめ

 

通常のトレーラーで運送の難しい長尺物を運ぶことのできるポールトレーラーは運送業ばかりではなく建設業にも無くてはならない存在です。

その仕組みと、ターンテーブルや架台、ステアリングドローバーなどの特殊なパーツが困難を可能にしています。

それにドライバーの運転技術ですね。

毎回長さの異なる長尺物を事故無く輸送するドライバーの運転技術にはただただ頭が下がるばかりです。

 

トラックファイブは『豆知識』でこれからもさまざまな情報をお届けします。

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