クレーンの資格・免許の種類を解説!技能講習や特別教育についても

物流業界においても建設業界においてもクレーンの存在は大きなものです。

人力の限界を超えた重量物の揚重や移動のためにクレーンは活躍します。

そして、私たちはクレーンを使えることによって物流業界や建設業界での活躍範囲を広げて収入を増やすことにつながります。

今回の『豆知識』ではこのクレーンの資格・免許の種類を解説し、技能講習や特別教育の説明もさせていただきます。

身近なクレーンをもっと身近にする機会としてください。

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そもそもクレーンとは

 

人間は長い歴史のなかで建設工事での材料の移動や大きな器物の移送のなかで人力での限界を知り、人の叡智を集めてその限界を超えてきました。

人力や人力以外の動力と滑車や歯車などの道具を使って重量物の揚重や移動を行ってきました。

クレーンとは物の揚重・移動のための人間の知恵の結晶なのです。

 

・デリックとクレーンの違いは?

クレーンの能力であり、定義でもある「荷を動力を用いて吊り上げる」そして「その荷を水平移動させる」このクレーンの二つの定義のうち、デリックは荷を動力を用いて吊り上げることが主たる能力なのです。

そして、このデリックの大きな特徴は揚重の原動力であるウインチが別置されていることにもあります。

クレーンの原型とも言えるデリックは国内で200基ほどしか現役で稼働していないのも特徴であり、デリックとクレーンとの違いとも言えるでしょう。

詳しく知りたい方はこちらへ:https://www.truck-five.com/tfbiz/archives/3661

 

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クレーンの免許

クレーン・デリックには数種類の免許と技能講習によって取得可能な資格があります。

重量物の揚重・移動が目的のクレーン操作にはいつも危険が隣り合わせにあります。

その危険を回避するためにあるのが免許であり、資格なのです。

免許試験や技能講習は決して受験者を落とすためにあるのではないのです。

正しい知識や正しい技能を学んで身につけてクレーン・デリックの免許や資格を取得してください。

そして、事故の無い安全な揚重作業に当たってください。

 

・クレーン免許1:クレーン・デリック運転士免許(限定なし)

クレーン・デリック運転士免許(限定なし)は労働安全衛生法により定められた免許です。

学科試験及び実技試験があります。

これらに合格できると運転可能になるクレーンの種類は天井クレーン、ジブクレーン、橋形クレーン、ガイデリック、スチフレッグデリック、ジンポールなどの各種クレーン、各種デリックの運転を認められます。

このクレーン・デリック運転士免許(限定なし)を取得すればすべてのクレーンとデリックが運転できるようになります。

 

2021年のクレーン・デリック運転士免許(限定なし)の合格率は65.9%にのぼります。

この数値が示す難易度はこの免許一つで全てのクレーンとデリックの運転が認められると考えるならば決して高くはないのではないでしょうか。

以下が試験詳細です。

受験資格は不要となっています。(ただし18歳以上になるまで交付されません。)

学科試験 合格基準
1.クレーン及びデリックに関する知識 10問 総得点が60%以上の得点、各科目が40%以上の得点率が合格基準
2.原動機及び電気に関する知識 10問
3.クレーンの運転に必要な力学に関する知識 10問
4.関連法令
実技 合格基準
1.クレーンの運転 実技の減点の合計が40点以下が合格基準
2.クレーンの運転のための合図

受験料 学科6,800円 実技11,100円

ちなみに2006年からクレーン・デリック運転士免許(限定なし)に変更されています。

それまではクレーン運転士免許(限定なし)がこの免許名でした。

 

・クレーン免許2:クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)

労働安全衛生法に定められた免許であるクレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)に合格できれば天井クレーン、橋形クレーンなどのクレーンの運転が可能になります。

2021年のクレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)の合格率は57.7%であり、クレーン・デリック運転士免許(限定なし)よりも低い数値となっています。

全てのクレーンの運転が可能になるクレーン・デリック運転士免許(限定なし)の方が合格率が高いのは不思議な気がしますが、受験者の心構えが違うということなのでしょうか。

以下が試験詳細です。

受験資格は不要となっています。

学科試験 合格基準
1.クレーン及びデリックに関する知識 10問 総得点が60%以上の得点、各科目が40%以上の得点率が合格基準
2.原動機及び電気に関する知識 10問
3.クレーンの運転に必要な力学に関する知識 10問
4.関連法令
実技 合格基準
1.クレーンの運転 実技の減点の合計が40点以下が合格基準
2.クレーンの運転のための合図

受験料 学科6,800円 実技11,100円

 

・クレーン免許3:クレーン・デリック運転士免許(床上運転式限定)

こちらも労働安全衛生法に定められた免許であるクレーン・デリック運転士免許(床上運転式限定)に合格できれば5t以上の荷を床上から操作するクレーンの運転が可許可されます。

5t未満の場合はクレーン運転の特別教育を終了すれば操作することが許可されます。

 

2021年のクレーン・デリック運転士免許(床上運転式限定)の合格率は45.5%であり、クレーン・デリック運転士免許の3種のなかで一番低い数値となっています。

以下が試験詳細です。

受験資格は不要となっています。

学科試験 合格基準
1.クレーン及びデリックに関する知識 10問 総得点が60%以上の得点、各科目が40%以上の得点率が合格基準
2.原動機及び電気に関する知識 10問
3.クレーンの運転に必要な力学に関する知識 10問
4.関連法令
実技 合格基準
1.クレーンの運転 実技の減点の合計が40点以下が合格基準
2.クレーンの運転のための合図

受験料 学科6,800円 実技11,100円

 

・クレーン免許4:移動式クレーン運転士

移動式クレーン運転士の免許も労働安全衛生法に定められた免許です。

移動式クレーン運転士の免許の取得によって吊り上げ荷重5t以上の移動式クレーンの操作・運転ができます。

ちなみに一般道の通行をするのには、当然ですが運転免許が必要になります。

以下が試験詳細です。

受験資格は不要となっています。(ただし18歳以上になるまで交付されません。)

学科試験 40問・2時間30分 合格基準
1.移動式クレーンに関する知識 10問 総得点が60%以上の得点、各科目が40%以上の得点率が合格基準
2.原動機及び電気に関する知識 10問
3.移動式クレーンの運転に必要な力学に関する知識 10問
4.関連法令
実技 合格基準
1.移動式クレーンの運転 実技の減点の合計が40点以下が合格基準
2.移動式クレーンの運転のための合図

受験料 学科6,800円 実技11,100円

 

・クレーン免許5:揚貨装置運転士

揚貨装置とは船舶に取り付けられたクレーンやデリックのことを言います。

こちらも労働安全衛生法に定められた免許である揚貨装置運転士に合格できれば5t以上の荷を床上から操作する揚貨装置の運転が可能になります。

2021年の揚貨装置運転士免許の合格率は80.5%となっています。

以下が試験詳細です。

受験資格は不要となっています。

学科試験 40問・2時間30分 合格基準
1.揚貨装置に関する知識 10問 総得点が60%以上の得点、各科目が40%以上の得点率が合格基準
2.原動機及び電気に関する知識 10問
3.揚貨装置の運転に必要な力学に関する知識 10問
4.関連法令
実技 合格基準
1.揚貨装置の運転 実技の減点の合計が40点以下が合格基準
2.揚貨装置の運転のための合図

受験料 学科6,800円 実技11,100円

 

技能講習が必要なクレーンの資格

技能講習も労働安全衛生法に定められた各種クレーンの資格取得に必要になります。

こちらは建設現場、工場で必要になる資格です。

作業内容として必ず必要なものですから、講習内容をしっかり頭に入れてもらい、修了後の試験に合格して、安全な作業に当たってください。

 

・クレーン資格1:小型移動式クレーン

小型移動式クレーンは吊り上げ荷重が5t未満の移動式クレーンのことを言います。

作業現場の小運搬や建設資材の運搬に活躍するユニック車を操作する際に必要となります。

作業の幅が広いため、人気の資格となっています。

 

技能講習の内容は

・学科:クレーンに関する知識、原動機や電気に関する知識、関連する力学の知識、関連

法令などです。

・実技:クレーンの運転、運転に必要な知識など

学科・実技の講習を受講して修了テストです。

講習費用は3万円ほどになるようです。

 

この修了テストも落とすためのテストではなく、難易度の高い講習・テストではありません。

正しい知識と安全作業の手順を身につけてもらい事故無くクレーン作業を行ってもらうための講習と修了試験なのです。

そして、この小型移動式クレーンには実施の作業に玉掛作業の知識と玉掛の資格が必要になります。

 

・クレーン資格2:床上操作式クレーン

工場などの天井に設置されている移動するクレーンです。

ぶら下がるペンダントスイッチを使って床上で操作ができるので床上操作式クレーンと呼ばれています。

労働安全衛生法にもとづく講習です。

講習の費用は3万円ほどかかるようです。

3日間の講習で学科・実技、そして修了テストがありますが、その内容は決して高いレベルでは無いようです。

そして、この床上操作式クレーンにも実施の作業に玉掛作業の知識と玉掛の資格が必要になります。

 

・クレーン資格3:玉掛け(1トン以上)

各種クレーンによる揚重作業にこの玉掛けは必ず必要となります。

クレーンによる揚重・移動作業中にひとたび事故があれば、大事故になる可能性が大きいです。

そんな事故を決して起こさないために、この玉掛作業の講習はとても大切なものになります。

2日間の学科講習と1日の実技講習が必要になります。

この講習にかかる費用は2万円超程度です。

講習場所によってその金額も若干の変動はあるそうなのでご自身で確認していただくようにしてください。

非常にし得しやすい講習とのことです。

この玉掛作業資格も、労働災害を減らすために重要な作業手順を周知してもらうことを目的にしており、落とすための講習修了テストではありません。

 

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特別教育で取得可能なクレーンの資格

他にも特別教育で取得の出来るクレーン関連の資格があります。

それらは特殊な作業であったり、規模の小さめの作業だったりします。

 

「デリック特別教育」は吊上げ荷重0.5t以上5t未満のデリックの操作です。

クレーンとデリックはその能力の違いから安全規則は全く異なるものが定義されていて、デリックの操作や運転には特別教育による資格取得が必須とされています。

 

「跨線テルハ」は鉄道において、手荷物を積んだ台車などをつり上げ、線路をこえて運搬するために使用されるものです。

非常に特殊な内容で、特別教育の主催者は関係する鉄道事業者になります。

 

特別教育を受講すれば「特別教育修了証」が交付されます。

費用は1万円台くらいの金額になるようです。

地域、主催者で変わるようですから、必要に応じて調べてください。

 

まとめ

 

クレーン、デリックには多くの種類があります。

そして、さまざまな業界、さまざまな場面において活躍するクレーンとデリックの免許・資格の取得はそれほどハードルは高くはないようです。

暑い夏に汗をかかずにできる作業であるクレーンの運転の仕事はある意味魅力的かもしれません。

ご自身の魅力もアップさせるためにもクレーンとデリックの免許・資格の取得はどうでしょうか。

人生における選択肢を増やすためにも一度ご検討されてはいかがでしょうか。

 

TRUCK BIZZの『豆知識』でトラックファイブは皆様のお役に立てる情報をこれからもお伝えしていきます。

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