ディーゼル規制とは何?対象車種・条件や対策を徹底解説

日本では戦後の高度成長期からバブル期にかけてさまざまな産業が大きく育ち、その下支えで輸送業であるトラック事業が活躍してきました。

そして、強く持久力のあるディーゼルエンジンは原材料から製品まで重量物の輸送を行うトラックには必要不可欠なものでした。

しかしながら、明確な排気ガス規制が無い時代に増え続けたトラックの排気ガスは公害という形で私たちの未来に警鐘を鳴らしました。

どこかで歯止めをかけなければならず、国の「自動車NOx・PM法」と各自治体によるディーゼル規制が生まれ、その規制基準に満たないトラックやバスなどのディーゼル車両に対して運行制限のルールが定められました。

今回の『豆知識』はそのディーゼル規制についてです。

 

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ディーゼル規制とは

ディーゼル規制とは首都圏の自治体を中心に旧式ディーゼル車の運行を制限した規制です。

「自動車から排出される窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」という国が定めた法律(NOx・PM法)にもとづいて、首都圏を中心とした自治体が条例を出して、旧式ディーゼル車の自治体内での走行や乗り入れを規制しました。

具体的には各自治体が条例で定めた「粒子状物質(PM)排出基準」を満たしていないディーゼルエンジンの搭載車両が対象となっています。

ディーゼル規制の目的にはディーゼル車が排出する大気汚染の素となる窒素酸化物(NOx)・粒子状物質(PM)を減らすことにあります。

そのために旧式ディーゼル車に関して一切の乗り入れ禁止や通過禁止など自治体によってルールには若干の違いはあるものの、規制対応車両でなければ移動に制限が出たり、車両の乗換えや排気ガス減少のための車両の改良を求められたりします。

 

・ディーゼル規制の対象

ディーゼル規制の対象は規制基準に対応できないトラックやバス等のディーゼルエンジン搭載車両です。

この環境を重視した「自動車から排出される窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」と、各自治体によって条例化され実施されているディーゼル規制の対象車両は、各自治体によって定められているルールに基づいています。

通過することすら許可されないルールであったり、通過は認めるルールであったりとその規制の度合いは自治体によってさまざまです。

 

・ディーゼル規制の内容詳細

ディーゼル規制の内容詳細は各都道府県など自治体によってさまざまです。

神奈川県などでは『自動車から排出される粒子状物質の量を増大させ、環境により大きな負荷を与える「重油」や「重油を混和した燃料」及び「性状が条例に規定する基準を満たさない燃料」を、自動車の燃料として使用・販売することを禁止する』とする「燃料規制」も実施しています。

トラック・バス・自動車などのなかで旧式ディーゼルエンジン搭載車両ばかりをターゲットにするのではなくそのもととなる燃料に着目しています。

旧式ディーゼル車両であっても各自治体が指定する粒子状物質減少装置を装着すれば走行は可能になるなど具体的な対応策まで各自治体は規制のなかで説明しています。

 

・ディーゼル規制が定められた目的と背景

ディーゼル規制が定められた目的はひとえにディーゼル自動車の排気ガスによって悪化した大気環境の改善です。

日本の陸上輸送の多くを担うトラック輸送により私たちは現在の豊かな生活を当たり前に手に入れているのですが、その幸せや利便と引き換えに大気汚染を許してきてしまったのです。

交通量の増加やディーゼル車の増加がもとで窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)は増加する一方でした。

それに歯止めをかけたのが「自動車から排出される窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」と各自治体によって制定されたディーゼル規制条例だったのです。

 

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ディーゼル規制の対策

ディーゼル規制のために設けられた条例内に具体的な対策が盛り込まれています。

一つ目は規制対策地域を設定して基準値に適応できていない車両の走行を禁じ、二つ目には車両をナンバープレートから確認し、三つ目には車両に規制区分を設けて対策としています。

 

・対策地域

ディーゼル規制の対策の一つとして各自治体によって設けられた8都府県における各市区町村の対策地域があります。

この地域では、条例の規制範囲内に該当しないディーゼルエンジン搭載のトラック・バス・自動車等の走行が認められていません。

以下がディーゼル規制対策地域となります。

 

■東京都

東京23区 八王子市 立川市 武蔵野市 三鷹市 青梅市 府中市 昭島市 調布市 町田市

小金井市 小平市 日野市 東村山市 国分寺市 国立市 福生市 狛江市 東大和市 清瀬市

東久留米市 武蔵村山市 多摩市 稲城市 羽村市 あきる野市 西東京市 瑞穂町 日の出町

■埼玉県

さいたま市 川越市 熊谷市 川口市 行田市 所沢市 加須市 本庄市 東松山市 春日部市

狭山市 羽生市 鴻巣市 深谷市 上尾市 草加市 越谷市 蕨市 戸田市 入間市 鳩ヶ谷市

朝霞市 志木市 和光市 新座市 桶川市 久喜市 北本市 八潮市 富士見市 上福岡市

三郷市 蓮田市 坂戸市 幸手市 鶴ヶ島市 日高市 吉川市 伊那市 吹上町 大井町 三芳町

川島町 吉見町 上里町 大里町 岡部町 川本町 花園町 騎西町 南河原村 川里町 宮代町

白岡町 菖蒲町 栗橋町 鷺宮町 杉戸町 松代町 庄和町

■神奈川県

横浜市 川崎市 横須賀市 平塚市 鎌倉市 藤沢市 小田原市 茅ヶ崎市 逗子市 相模原市

三浦市 秦野市 厚木市 大和市 伊勢原市 海老名市 座間市 綾瀬市 葉山町 寒川町 大磯町

二宮町 中井町 大井町 愛川町 城山町

■千葉県

千葉市 市川市 船橋市 松戸市 野田市 佐倉市 習志野市 柏市 市原市 流山市 八千代市

我孫子市 鎌ヶ谷市 浦安市 四街道市 白井市

■愛知県

名古屋市 豊橋市 岡崎市 一宮市 瀬戸市 半田市 春日井市 豊川市 津島市 碧南市 刈谷市

豊田市 (旧藤岡町 旧小原村 旧足助村 旧下山村 旧旭町及び旧稲武町を除く) 安城市

西尾市 蒲郡市 犬山市 常滑市 江南市 小牧市 稲沢市(旧祖父江町を除く) 東海市 大府市

知多市 知立市 尾張旭市 高浜市 岩倉市 豊明市 日進市 愛西市(旧立田村・旧八開村を除く)

東郷町 長久手町 西枇杷島町 豊山町 師勝町 西春町 春日町 清洲町 新川町 大口町

扶桑町 七宝町 美和町 甚目寺町 大治町 蟹江町 十四山村 飛鳥村 弥富村 阿久比町

東浦町 武豊町 幸田町 三好町 音羽町 小坂井町 御津町

■三重県

四日市市 桑名市(旧多度町を除く) 鈴鹿市 木曽岬町 朝日町 川越町

■大阪府

大阪市 堺市 岸和田市 豊中市 池田市 吹田市 泉大津市 高槻市 貝塚市 守口市 枚方市

茨木市 八尾市 泉佐野市 富田林市 寝屋川市 河内長野市 松原市 大東市和泉市 箕面市

柏原市 羽曳野市 門真市 摂津市 高石市 藤井寺市 東大阪市 泉南市 四條畷市 交野市

大阪狭山市 阪南市 島本町 忠岡町 熊取町 田尻町

■兵庫県

神戸市 姫路市 尼崎市 明石市 西宮市 芦屋市 伊丹市 加古川市 宝塚市 高砂市 川西市

播磨町 太子町

 

以上が8都府県における各市区町村の対象地域となります。

 

・規制ナンバー

ディーゼル規制の対象車両は、当然ながらディーゼル車です。

自動車検査証(車検証)の燃料の種類欄に「軽油」と記載されている自動車です。

 

そして、規制の対象となる車種はナンバーによって見分けることができ、車検証によっても見分けることができます。

 

規制の対象となる車種のナンバーは以下の通りです。

ナンバープレートの分類番号(地名右側:陸運支局所在地の右側の数字)がそれに当たります。

① 貨物自動車

1ナンバー  10~19 100~199

4ナンバー  40~49 400~499

6ナンバー  60~69 600~699

② 大型バス(乗車定員30人以上)

2ナンバー  20~29 200~299

6ナンバー  60~69 600~699

③ マイクロバス(定員11人以上30人未満)

5ナンバー  50~59 500~599

7ナンバー  70~79 700~799

6ナンバー  60~69 600~699

④ 特種用途自動車

8ナンバー  80~89 800~899

 

ただし、乗用車(3,5,7ナンバー)は規制の対象外です。

上記規制ナンバーで規制解除装置(DPFや酸化触媒)を取り付けていれば規制対象外になります。

自治体によっては監視カメラでナンバープレートの確認を行っています。

 

規制対象となるエンジンの型式は以下の通りです。

① 記号のない昭和54年頃まで製造された車両

② U、W、S、P、N、K、KA、KB、KC

③ KE、KF、KG、KJ、KK、KL、HA、HB、HC、HE、HF、HM

車検証で確認できますが、不明な場合にはメーカー、ディーラーに問いあわせてください。

 

・規制区分

ディーゼル規制対策の三つ目の規制区分に注目してみましょう。

車両総重量と排出基準に適合しているかの区分です。

 

① 車両総重量:1.7t~3.5t

平成17年の規制に適合していれば問題なし

② 車量総重量:3.5t~

平成10年の規制に適合していれば問題なし

 

以上の区分を規制区分としています。

 

ディーゼル規制を違反した際の罰則

規制があるということは必ず罰則があるということです。

規制を行うために制定された法律・条例は知らなかったでは済まされないのです。

特に業務として行っている運送業で使われるトラックを中心にした車両を規制対象にしている法律・条例ですので、ディーゼル規制を違反した際、自社だけで済まされることならまだよいでしょうが、取引先にまで迷惑をかけるようなことになってしまえばそれこそ社業にまでかかわってしまいます。

ディーゼル規制を違反した際の罰則をよく頭に入れて最悪の事態は回避してください。

 

① 通行禁止命令

条例に違反した運転者又は使用者はその自動車の運行の禁止命令を受けることがあります。

② 罰則

運行禁止命令に従わない場合には、「50万円以下の罰金」に処せられる場合があります。

 

監視カメラによる識別や、自動車Gメン(自動車公害監察員)の取締りも行われています。

これまでの運行実態に対する改善命令等を無視しているなどの状況であれば、荷主の氏名公表や事業継続に差し支えがある何らかのペナルティが課せられる可能性もゼロではないでしょう。

ディーゼル規制条例の罰則はかなり厳しいものです。

 

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ディーゼル規制対象車の車検対策

各自治体は規制対象外の新型車両への乗り替えを推奨しますが、トラック事業を行う事業者にとっては簡単な対応ではありません。

ディーゼル規制対象車の車検対策を最後に解説させていただきます。

 

・規制解除装置を取り付ける

医療における対症療法のようになってしまいますが、ディーゼル規制条例で認められている規制解除装置を取り付けることが費用はかかりますが手っ取り早く、トラックの買い替えほどの費用はかからず現実的な対応かと思います。

しかしながら、原因療法にはなっていない現実が残ります。

 

・DPF

ディーゼル規制の排出基準を満たすために条例で認められている規制解除装置の一つがDPFです。

DPF はDiesel particulate filter(ディーゼルパティキュレートフィルター)の略語で「ディーゼル微粒子捕集フィルター」のことです。

分かりにくい名称ですが、ディーゼルエンジンの排気ガス中の粒子状物質 (PM) を漉し取り減少させるフィルターです。

大型の装置で設置スペースが必要となります。

そして定期的なメンテナンスも必要になります。

フィルターの素材は、熱に強いセラミックが用いられてきましたが、高価なためステンレスを用いるものもあります。

取付け費用は約50~100万円かかります。

 

・酸化触媒

酸化触媒もディーゼル規制の排出基準を満たすために条例で認められている規制解除装置の1つです。

マフラースペースに装着して排気ガス中のPMを白金やパラジウムなどの触媒を利用して減らす仕組みです。

メンテナンスが不要であることが使い易さにつながっています。

この酸化触媒の取付け費用は約20~40万円となります。

 

しかし、このDPFにしても酸化触媒にしても「対症療法」にしてはかなり高額な対策です。

 

・買取に出す

中途半端に高額な費用を払って規制解除装置を取り付けるのであるならば、買取専門業者に買い取ってもらいディーゼル規制対応の新車に乗り換えることも検討したほうがいいでしょう。

ディーゼル規制に対応しないトラックを買い取ってもらえるのかと不安に感じる方もいらっしゃるでしょうが、中古トラックの多くは海外に渡って第二の人生を送ることになります。

ディーゼル規制は日本国内のことであって、海外ならどこでも同様な厳しい規制があるわけではありません。

メイドインジャパンのトラックは優秀です。

各日本メーカーの技術の粋を集めて作られたトラックは、日本の車検という優秀な制度と日常点検により、中古になっても非常に健康状態が良く高額な新車よりも人気があるのです。

また、トラックが動かなくなるまで乗り続ける海外市場においては中古トラックの部品だけでも交換用として高い値段で取り引きされるのです。

日本の中古トラックはまだまだ必要とされています。

 

まとめ

年次ごとに排出ガス規制は変わっています。

加えて海外における同様の排ガス規制も年々変化しています。

先を見据えながら、タイミングを見計らってトラックの買替を行う経営者もいらっしゃると思います。

トラックが高額で売れるタイミングで手放すことをしなければ、そのトラックは部品として売らなければならない、そんな時がやって来るかもしれません。

 

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頑張って来てくれたトラックの売却をお考えの際には是非トラックファイブにご相談ください。

【参考】中古トラックの買取相場はこちら

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