ホイールローダーとは？ 構造や種類、主な用途などを解説
今回の『豆知識』では、ホイールローダーがどんな建設機械なのか、その構造や特徴、主な用途、アタッチメントの種類、運転に必要な免許・資格、主要メーカーについて詳しく解説します。
ホイールローダーは、土砂や雪を効率的に運搬・積み込むための多用途な機械として、建設現場や積雪地域で広く活用されています。この『豆知識』を読み進めていただくことで、ホイールローダーの基本的な知識から具体的な操作方法、選ぶ際のポイントまで理解が深まり、業務や趣味で利用する際に役立つ情報が得られます。
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目次
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ホイールローダーとは
ホイールローダーは、タイヤで走行するトラクターショベルの一種で、「タイヤドーザー」や「タイヤショベル」とも呼ばれます。前面に大きなバケットを備え、土砂や砕石、雪などをすくい上げて運搬・積み込みを行う建設機械です。その特徴は、四輪駆動と中折れ式の操舵で、狭い場所でも機動性が高く、不整地や急斜面でも安定した走行が可能です。
バケット容量は0.4立方メートルから24立方メートルまであり、用途に応じたサイズ選択ができます。また、アタッチメントの交換で除雪や農業作業にも対応し、汎用性が高い点が評価されています。
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ホイールローダーの構造
ホイールローダーの構造は、積込装置、エンジン・油圧装置、運転席、タイヤ（足回り）で構成され、それぞれが効率的な作業を支えます。
・積込装置
積込装置は、バケットとリフトアーム、油圧シリンダーで構成されます。バケットで素材をすくい、リフトアームで持ち上げ、油圧シリンダーがスムーズな動作を支えます。バケット容量は作業内容に応じて0.4～24立方メートルと幅広く、積み込み量を調整可能で、効率的な運搬を実現します。
・油圧装置
エンジンはディーゼルが主流で、強力な動力を供給します。油圧装置はエンジンから力を伝え、バケットやアームの動作を精密に制御します。最新モデルでは燃費低減技術が搭載され、環境負荷の軽減も図られています。
・運転席
運転席は快適性と安全性を重視し、エアコンや防音設計が施されています。操作レバーは直感的に使いやすく、視界を確保する大型ガラスが採用され、長時間作業でも疲労を軽減します。
・タイヤ（足回り）
タイヤは高強度のゴム製で、不整地や軟弱地盤でもパンクしにくく設計されています。四輪駆動で安定性を確保し、中折れ式操舵により内輪差をなくし、狭い場所での操作性を高めています。
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ホイールローダーの種類
ホイールローダーの種類大きく分けて3つあります。
・ホイールローダー
・ショベルローダー
・スキッドステアローダー
以上の説明をします。
・ホイールローダー
4輪駆動のため、作業場所を選ばず雪道や不整地でも斜面のある場所でも活躍します。外見はショベルローダーに似ています。4輪駆動のホイールローダーと前輪駆動のショベルローダーの違いは駆動ばかりではなく、中折れ式であることが、もう一つの大きな違いです。ホイールローダーは前後が分かれた車体で構成されており、その分かれ目で折れ曲がり、中折れ式のために内輪差・外輪差が無いのも大きな特徴です。
・ショベルローダー
ショベルローダーは労働安全衛生法で車両系荷役運搬機械と定義されています。その定義からもフォークリフトに似ているのですが、リフトアップにはフォークリフトのようなマストはなく使用、アームを利用します。アタッチメントがフォークではなくてバケットが標準装備されているものをショベルローダーと呼んでいますして前輪の2輪が駆動し後輪での操舵を行います整地は苦手で、工場や畜舎での作業が向いています。
・スキッドステアローダー
車輪4輪の向きが変わることがなく一方向に前後しか回転できないのがスキットステアローダーの大きな特徴です。左右の車輪の回転方向・回転数を変えることによって車体の向きを変えます。そのために狭小な場所であっても向きを自在に変えることができるのがスキットステアローダー大きな利点です。畜舎内での作業や、狭い場所での作業に向いています。
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ホイールローダーの主な用途
ホイールローダーは多様な現場で活躍し、以下のような用途があります。
・積み込み・積み下ろし
土砂や砕石、もしくは除雪時の集積した雪などをダンプトラックに積み込む作業に最適で、大容量バケットが効率的な積み込みを支援します。建設現場で重宝され、短時間での土砂・採石の大量処理が可能です。
・運搬
土砂や資材、除雪で集めた雪などの近距離での運搬が可能で、タイヤ走行の機動性を活かし、現場内をスムーズに移動できます。農業・畜産業ではたい肥の切りかえし作業や運搬にも使用され、柔軟な運用が可能なことが特徴です。
・整地
地面を平らにする整地作業に使用されます。バケットで土をならして基礎工事前の準備工事を効率化します。精度が高い作業は大きく評価されます。
・解体
建物解体時に瓦礫をすくい上げ、運搬する役割を果たします。バケット以外のアタッチメントへの交換によってさまざまなケースへの対応力が高く、安全性も確保されています。
・採掘
採石場で石材を掘り起こし、積み込む作業に適しており、頑丈な構造が重労働を支えます。効率的な生産が可能です。
・除雪
降雪エリアで道路や駐車場の除雪に活用されます。面積の大きさに関わらず、小規模店舗の駐車場の除雪も行います。スノーブレードで雪を押し除けるため、冬季の安全確保に貢献します。
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ホイールローダーのアタッチメントの種類
ホイールローダーはアタッチメントの交換で多様な作業に対応します。他の車両系建設機械のようにアタッチメントを交換できることがホイールローダーの大きな特徴でもあります。そしてそのアタッチメントによって用途は変わります。
・ローダーバケット
・フォーク
・グラップル
・リッパ―
・スノーブレード
以上の説明をします。
・ローダーバケット
一般的なバケットですが、作業内容によってこの中にも数種類のバケットが用意されています。前進による掘削作業に向くホイールローダーは地面の整地のために表土剥ぎや地ならしの押土作業もバケットの種類によっては可能なのです。さまざまな土壌条件で、集積、積込、運搬、整地などの作業に対応するバケットです。
・フォーク
フォークはISO規格に適合するフォークリフトに備え付けられているフォークと同じものです。フォークアタッチメントに変えるだけでホイールローダーはフォークリフトに変わります。フォークリフトより運転室の座席位置は高くなり操作性は上がり安心して作業に当たることができます。
・グラップル
力強いホイールローダーのグラップルは林業に欠かすことはできません。木材をつかんでから選抜作業の行うための移動や、木の幹の処理のための移動などをホイールローダーの機敏性がてきぱきと進めてくれます。まとめて木材をつかむことも、バラの木材をつかむことができます。そしてアタッチメントを取り換えれば他の作業にもホイールローダーは使用でき、どの作業場でも重宝します。
・リッパー
硬い地面を掘り起こすリッパーは、採掘や整地に適しており、頑丈な設計で重労働をサポートします。採石場や鉱業での岩石の破砕に効果的です。
・スノーブレード（スノープラウ）
スノーブレードは除雪用排土板です。アタッチメントを変えるだけで雪かきが可能です。前輪駆動の高馬力ホイールローダーは除雪作業になくてはならない存在です。押し進んで雪を寄せて、アタッチメントをローダーバケットに交換すれば、効率よくたまった雪を移動させたり、トラックに積込んだりすることができます。
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ホイールローダーは除雪時にも活躍
前述のとおり、ホイールローダーは建設現場だけでなく、除雪作業でも重要な役割を果たしています。特に雪国では、冬季の安全確保に欠かせない機械です。
・ホイールローダーを使って除雪するときのコツ
除雪作業を効率的かつ安全に行うには、いくつかのコツがあります。以下で詳しく説明します。
・運転時
運転時は低速でスタートし、急ブレーキを避けます。助手や誘導者を配置し、周囲の安全を確認しながら進めてください。
・除雪時
除雪は一定のスピードで進め、バケットで雪をすくうかスノーブレードで押し出します。急な動きは避け、安定性を保ちます。
・排雪時
集めた雪はダンプに積み込むか、側道に運びます。安全な場所を選び、慎重に排出して事故を防止してください。
・ホイールローダーでの除雪時の注意点
ホイールローダーでの除雪作業は雪国では欠かすことのできない生活の一部となっています。間違えば事故や命取りにまでなってしまうこの除雪作業のポイントをいくつか挙げますので参考にしてください。
・万が一に備えて、一人で作業はしないでください。
・まずは運転者と助手とで決められた合図を再確認してください。
・エンジンの回転をその都度調整して作業に当たってください（雪は非常に重いものです）。
・雪に隠れている構造物に注意して、歩行者の存在には細心の注意を払ってください。
・バケットで雪を削るように除雪してください。
・バケットは少し上向きにしてバケット内に雪が溜まるようにして水平に走行してください。
・排雪は山になって危険にならないようにしてください。
・誘導員を配置し、くれぐれもまわりの安全を確認してください。
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ホイールローダーの運転・操作に必要な免許・資格
ホイールローダーを安全に操作するには、適切な免許・資格が必要です。車両重量により必要な資格が異なります。
・3t未満のホイールローダーの場合
3t未満のホイールローダーを運転するには、以下の資格が求められます。
・車両系建設機械（整地・運搬・積み込用及び掘削用）の運転に係る特別教育
この資格は、3t未満のホイールローダーを操作する際に必要です。労働安全衛生法に基づき、基本的な操作や安全管理を学ぶ講習です。
| 項目 | 内容 |
| 概要 | ・安全な操作技術と知識の習得
・都道府県の労働局長登録機関か、企業の事業所で実施される |
| 講習科目 | ・学科（関係法令、走行・作業・運転に関する知識、安全管理）
・実技（走行・作業） |
| 時間 | ・最大12時間、保有資格によって受講時間は変わりますので確認が必要です |
| 受講にかかる料金 | ・約1万～2万円 |
| 受講資格 | ・満18歳以上、 |
・小型特殊免許
小型特殊免許は、公道走行が可能な3t未満のホイールローダーの運転に必要です。道路交通法に基づく免許で、農耕作業車や特殊車両の運転を許可します。
| 項目 | 内容 |
| 概要 | ・公道での安全運転技術の習得 |
| 講習科目 | 学科（法令、交通ルール）と実技 |
| 時間 | 約4時間 |
| 受講にかかる料金 | 約1万～1.5万円 |
| 受講資格 | 満16歳以上、視力・聴力基準を満たす必要があります |
・3t以上のホイールローダーの場合
3t以上のホイールローダーを運転するには、より高度な資格が求められます。
・車両系建設機械（整地・運搬・積み込用及び掘削用）運転技能講習
この技能講習は、3t以上のホイールローダーを操作する際に必須です。労働安全衛生法に基づき、専門的な操作技術と安全管理を学びます。
| 項目 | 内容 |
| 概要 | ・高度な操作技術と安全管理の習得
・都道府県の労働局長登録機関か、企業の事業所で実施される ・最大で合計38時間（６日間）の講習を受けて修了試験に合格することによって資格を取得することができます |
| 講習科目 | ・学科（関係法令、走行・作業・運転に関する知識、安全管理）13時間
・実技（走行・作業）25時間 |
| 時間 | ・最大で38時間、保有資格によって受講時間は変わりますので確認が必要です |
| 受講にかかる料金 | ・約5万～7万円 |
| 受講資格 | ・満18歳以上 |
・大型特殊免許
大型特殊免許は、3t以上のホイールローダーの公道走行に必要です。道路交通法に基づき、大型特殊車両の運転を許可する免許です。
| 項目 | 内容 |
| 概要 | ・公道での大型車両の安全運転 |
| 講習科目 | ・学科（法令、交通ルール）と実技
・普通免許を持っていれば学科講習は免除となります |
| 時間 | ・普通免許があれば学科は免除され、6時間の技能講習と教習所の卒業試験、運転免許試験場での適正試験受験が必要になります
・普通免許がない場合、15時間の教習と運転免許試験場での適正試験受験で取得可能です。 |
| 受講にかかる料金 | ・教習所にかかる料金は、普通免許保有で10万～13万円ほど
・保有なしで、17万～20万円ほどです ・運転免許試験場で必要な受験料は約6,500円です |
| 受講資格 | ・満18歳以上、視力・聴力基準を満たす |
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ホイールローダーの主要メーカー
ホイールローダーを製造する主要メーカーは多く、特徴ある製品を提供しています。
・コマツ
コマツは、日本を代表する建設機械メーカーで、高い耐久性と先進技術が特徴です。日本国内では第1位、世界においては第2位のシェアを誇る建設機械メーカーです。燃費効率を高める「アクティブエンジンコントロールシステム」を搭載し、環境負荷の低減に貢献しています。
主力製品には、小型から大型まで幅広いラインナップがあり、例えば「WA320-8」は中型機で、1.7㎥のバケット容量を備え、快適な操作性が評価されています。「WA470-10」は大型機で、機械質量は23,600kg、4.2㎥のバケット容量を持ち、鉱山や大規模現場に適しています。
コマツはAIを活用した自動運転技術の開発を進めており、将来的な効率化が期待されます。メンテナンス性も優れ、広いエンジンカバーが点検を容易にします。
・日立建機
日立建機は、快適性と作業効率を追求したホイールローダーで知られています。本来は快適性と作業効率は燃費低減と相反するものですが、日立建機は「アクティブエンジンコントロールシステム」により、センサーで動作を最適化し、燃費を削減しています。
主力製品の「ZW20」はミニホイールローダー（バケット容量：0.3～0.4㎥）で、小規模現場や除雪に適し、低騒音設計が好評です。日立建機では、小回りのきくミニホイールローダーから、大型ホイールローダーまで幅広く取り揃えています。「ZW220」は中型機（2.2㎥）で、土木作業に強く、操作性が優れています。大型の「ZW370」（3.7㎥）は鉱山向けで、頑丈な構造が特徴です。除雪仕様のモデルが積雪地域で人気です。
・クボタ
クボタは、農業機械やディーゼルエンジンを中心とした産業機械メーカーとして知られ、ホイールローダーでも独自のエンジン技術が光ります。登坂性能に優れた「KX040-4」は0.4立方㎥の小型機で、農業や除雪に適しています。「R510」は1㎥容量の中型機で、バランスの良いパワーが特徴です。現行のモデルでは、燃料効率を高めるエコ技術が導入され、環境対応が進んでいます。耐久性とメンテナンスのしやすさが評価され、小規模事業者に支持されています。
・ヤンマー
ヤンマーは、発動機・農機・建機・小型船舶の製造・販売を手がける大手メーカーであり、農機分野で実績が大きいです。そのため、ホイールローダーもコンパクトで扱いやすい設計が特徴になっています。「V3-7」は0.4㎥の小型機で、畜産や軽作業に適し、オートマ感覚の操作が人気です。「V5-7」は0.6㎥で、中規模現場に対応し、燃料効率が優れています。どちらの機種も『オフロード2014年』に対応しています。
『オフロード2014年』はディーゼルエンジンを搭載した特殊自動車が対象で、窒素酸化物や粒子状物質などの排出量の大幅に削減をクリアしている車種です。除雪用アタッチメントの開発が進み、雪国での需要も増加しています。信頼性とコストパフォーマンスが強みです。
・コベルコ
コベルコは、神戸製鋼グループ企業であり、パイオニア精神で知られ、革新的な技術を導入しています。国産建設機械第1号機となる電気ショベル50Kを世に送り出し、たくさんの製品を生み出しています。「LK120Z-5」は1.3㎥の中型機で、乗用車感覚の操作性が特徴です。「LK350Z-5」は4㎥の中型機で、土木作業に強く、耐久性が評価されています。
低騒音設計が強化され、都市部での使用が増加しています。メンテナンス性も高く、幅広い現場で活用されています。
・CAT
キャタピラー（CAT）は、アメリカを本拠地とする世界的なブランドです。日本キャタピラーがディーラーとして日本国内で建設機械を取り扱っています。キャタピラーのホイールローダーは頑丈さと多機能性が特徴です。「930M」は2.1㎥の機種で、積み込み効率が優れ、除雪にも対応します。「972M」は4.8㎥の大型機で、鉱山や大規模工事に適しています。クイックカプラーによるアタッチメント交換が迅速化され、作業効率が向上しています。
ライドコントロールシステムで振動を軽減し、快適性が際立ちます。
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まとめ
ホイールローダーは、タイヤ走行と中折れ式操舵を特徴とする建設機械で、積み込み、運搬、整地、除雪など多様な用途に対応します。構造は積込装置、エンジン・油圧装置、運転席、タイヤで構成され、アタッチメントで機能が拡張されます。運転には車両重量に応じた免許・資格が必要で、3t未満なら特別教育、3t以上なら技能講習が求められます。
主要メーカーはコマツ、日立建機、クボタ、ヤンマー、コベルコ、CATで、それぞれ独自の技術で競い合っています。最新の情報を基に、適切な選択とメンテナンスで活用しましょう。
トラックファイブは『豆知識』でこれからもさまざまな情報をお届けしていきます。
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