車のファンベルトの鳴き(キュルキュル音)の原因は?放置するリスクや交換費用

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はじめに

エンジンのクランクシャフトの回転力を利用してオルタネーターやウォーターポンプなどの補機類やさまざまな装置を駆動させるゴム製のベルトがファンベルト。そのファンベルトが劣化すると突然エンジンからキュルキュルと鳴ります。放置するとオーバーヒートなど重篤なトラブルが発生する危険性があります。 

今回の『豆知識』ではファンベルトの鳴き(キュルキュル音)の原因や、放置によるリスクと交換時期および費用の目安について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

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車のファンベルトとは 

ファンベルトとは、そもそもエンジンの動力をベルトに伝えてファンを回しラジエターを冷却するベルトのことを言いました。そして、ベルトの断面の形状からVリブドベルトやVベルトとも呼ばれています。

次第にバッテリーの充電や、エアコン・パワステなどにもファンベルトは利用されるようになりそれらの伝動ベルトを総称してファンベルトと呼んできたのです。

 

ファンベルトの役割 

電動式ファンが一般的になった現在では本来あったファンを回すファンベルトとしての役割は変わってきています。今なお残っているファンベルトと呼ばれる伝動ベルトは、補機類やさまざまな装置を動かすトラックや各車両に欠くことのできない駆動部品なのです。 

発電した電気をバッテリーに送るオルタネーター、エンジンを冷やす冷却水を巡回させるウォーターポンプ、重量のあるトラックのハンドリングを楽にするパワーステアリングなどを動かすことが現在のファンベルトの役割です。 

 

ファンベルトの鳴き(キュルキュル音)の原因 

「キュルキュル」と鳴くファンベルトから発生する異音は大きく3つの原因により起こっています

 

ゴムの劣化

ファンベルトはゴムでできている消耗品です未来永劫使える部品ではなく、定期点検や車検で経年劣化や摩耗などの異常が認められればすぐに交換しなければならない部品なのです。 

ゴムの劣化によるファンベルトの摩擦力の低下によってプーリーなどとの接触面との擦れが生じてキュルキュル音が発生してしまう場合があります

 

プーリーの不具合 

ファンベルト自体に劣化などの異常がなくても、プーリーなどの不具合が生じたり、錆びてしまったりすることでキュルキュル音を引き起こす原因となる場合があります。滑車であるプーリーに不具合があれば、上手くエンジンの力がその先に伝わることはなく、キュルキュル音ではなく、「カラカラ」「カタカタ」と部品同士がぶつかっているような異音が鳴ります。錆びたプーリーはファンベルトとの摩擦音を異音に変えてしまうことがあり、早急な取り換えが必要になります

 

ベルトの張りの緩み

適正な張力がファンベルトにかからなければファンベルトは緩み空回りに近い状態になっていきます。その原因の一つにはファンベルトの経年劣化などによる伸びがあります。伸びたファンベルトは適正な張力を保つことができずキュルキュル音を発生させてしまいます。

 

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車のファンベルトの鳴きを放置するリスク 

ファンベルトの鳴きはトラックの「泣き」だと考えてください。鳴きが起こす原因はエンジンや補機類に必要以上の負荷がかかっている状態だからです。そのまま放置すればベルトが切れて、オーバーヒートが起きたり、パワステなどに影響が出る危険性があります。

 

オーバーヒートの可能性 

ファンベルトの鳴きを放置し、交換しないままで走行を続ければファンベルトが切れてしまいウォーターポンプを故障させてしまう可能性があります高温のエンジンを冷やす冷却水を循環させているウォーターポンプが機能できなくなってしまえばエンジンの温度を下げることができず、最終的にはエンジンがオーバーヒートを起こしてしまう可能性があります

エンジンがかからなくなる 

ファンベルトに異常があれば、バッテリーへの電力供給元であるオルタネーターが作動せず、充電された電気を使い切ってしまいバッテリーは上がってしまいます。バッテリーからの電力をもとに動いている機器は多いです。その多くの機器が作動しなくなってしまいます。そして、バッテリー上がりのダメージを一度でも受けるともとの状態には戻らず、交換が必要になります。

 

エアコンが効かなくなる  

ファンベルトはエンジンの動力を伝えて、エアコンのコンプレッサーも作動させています。そのため、エアコンは動かなくなってしまいその機能を停止してしまうのですトラックドライバーにとって、暑い夏の冷房も、寒い冬の暖房も安全・快適な運転や作業を行うために必要なものです。

 

のファンベルトの交換時期・費用の目安 

ファンベルトの交換時期・費用の目安です。交換費用に関しては、地域や交換場所によって違いがありますので、ご確認をお願いします。

 

交換時期の目安 

ファンベルトの交換時期は5年〜10年、走行距離5万〜10万kmが目安ですファンベルトの素材はゴムのために、金属のような錆びがありません。その代わりに、経年によって劣化や老化が起きてしまい、ゴムの性能が変わってしまうことは避けることができません 

ファンベルトの交換タイミングはこの目安の年数や走行距離もありますが、部品としての価格は決して高いものではありませんので、定期点検や車検ごとの決まった年次に交換することをお勧めします。
 

交換費用の目安 

ファンベルトの交換費用は1万円前後(工賃込み)。メーカーや車種によって部品代は違ってきます。工賃も交換場所や地域によって違いがありますので確認が必要です。 

 

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車のファンベルトの点検・メンテナンス方法 

ファンベルトの点検・メンテナンスは非常に大切です。ファンベルト1本の不具合がさまざまな故障を引き起こし、最後にはエンジンの始動さえできなくしてしまいます。それらを防ぐためには日頃の点検しかなく、異常を見つけたら十分なメンテナンスを行ってください。

 

点検方法  

まずは目視点検です。エンジンルームをのぞいてベルトにヒビや摩耗がないかの確認をします。続いて指でベルトのたわみを確認してください。慣れていなければ張り具合の点検は難しいですが、指で押さえて12mm程度たわむのが理想的ですので、それを目安としてください。

 

メンテナンス方法 

目視点検を行い、指で張り具合の緩さを感じたのであれば、まずは張りの調整が必要です。ファンベルトは消耗品のために、経年劣化を起こしている可能性があります。そして、交換を前提にプロの整備士に相談してください。ベルトのヒビも経年劣化によるものです。耐久性能が落ちていますので、この場合も交換してください。

交換の方法には下記のようにいくつかありますので参考にしてください。 

 

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のファンベルトを交換できる場所 

同一素材の単純な部品ではありますが、非常に重要な部品のファンベルトです。交換には自力での方法を含めていくつかありますので紹介させていただきます。

 

ディーラー 

仕事中の遠方でのトラブルでなければ、トラックを購入したディーラーへ持ち込むのは、一番安心できる方法かもしれません。自社のトラックを熟知した整備士が丁寧に扱ってくれ、作業への信頼の高さがメリットと言えるでしょうしかし純正品を使いますので料金が高くなってしまうのがデメリットとなるかもしれません。

 

整備工場 

整備士という国家資格を持ったプロに任せることは安心と確実さを得ることにつながります。そして費用もディーラーほど高くはありません。安くて安心な交換は大きなメリットとなりますが、作業前にいくつかの整備工場から見積もりを取ってみてください。国産のベルトを使えば純正品と品質に大きな違いはなく、作業も間違いないでしょう。他社との比較で少しでも安いファンベルトの交換は高騰する燃料費対策としての、経費削減の一つの方法になるでしょう。

カー用品店 

カー用品店にも整備士が常駐するため交換は可能でしょう。その店舗数の多さから緊急時の便利さや、費用面からの対応ではありがたい存在かもしれません。日曜・休日でもどのカーショップも営業していますので、ウィークデーに仕事を休まなくても大丈夫です。 

普通車中心のカー用品店ではトラックが入ることのできる作業スペースがあるのか、車種によっては対応不可能と言われる場合もあるでしょうから、まずは対応可能かどうかを確認したほうがよいでしょう。

 

自分で交換 

ご自身でのファンベルト交換は不可能ではありませんが、おすすめできません。ネット通販で安いベルトを購入し、交換費用なしで安価に済ますことができてメリットがあるように思えますが、専門的な知識と専用の工具が必要な作業です。そして、各所の機能に影響を与える重要なポジションであることを考え合わせ、整備士に依頼することをおすすめします。

 

ファンベルトとタイミングベルトは何が違う? 

ファンベルトはエンジンの力を補機類、各装置に伝えるのがその役割です。タイミングベルトはエンジン内部にあり、エンジン自体を動かすために存在しています。エンジンを中心に考えると1次的な役割か、2次的な役割かの違いがあります。 

タイミングベルトはエンジン内部の一番大切なカムシャフトを動かしているのです。この重要なカムシャフトが同じリズムで駆動するためにタイミングベルトは需要な役割を担っているのです。タイミングがずれてしまえばカムシャフトばかりかエンジン自体が壊れてしまう可能性も持つほど、重要な役割をタイミングベルトは持たせています。そして、ファンベルトとタイミングベルトはベルトの形状が違います。 

そのためにカムシャフトをはめ込むプーリーはギア構造になっていてタイミングベルトはそのギアをしっかり噛み込むことができるギア状になっています。同じエンジンに関係するベルトですが、その働きの内容と形状が違います 

 

まとめ

昔からの名残でその名称が残っているファンベルトは非常に重要な役割を担っています。トラック業界においてもこの先EV化や新燃料の開発でエンジンのスタイルは変わり、ファンベルト、伝動ベルトは淘汰されていくのかもしれません。それでもパワーステアリングや、ブレーキシステムなどにファンベルトは残っていくだろうと囁かれてもいます。

ファンベルトが鳴いたら、早めの交換をおすすめします。自分で交換するのはリスクもありますので、プロへの依頼をおすすめします。 

トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆さまにさまざまな情報をお届けします。 

 

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