
内輪差、外輪差とは? 事故を防ぐためのコツ、計算方法を解説
目次

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はじめに
普通車をはじめとする自動車すべてに内輪差と外輪差が存在します。
トラックやバスなど大型車両の内輪差と外輪差は大きいため、交通弱者である歩行者や自転車、オートバイなどとの接触事故や巻込み事故を起こすリスク、歩道への乗り上げや脱輪のリスクが高まってしまいます。そのため、運転する際には特に注意を払う必要があります。
今回の『豆知識』では内輪差が原因で発生する事故やトラブルの例、事故を防ぐための運転のコツなどについて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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内輪差とは?
車両の内輪差とはカーブで車両の前輪と後輪が描く軌道の差のことです。前輪と後輪の中心間の距離であるホイールベースが長ければ長いほど内輪差が大きく、トラックやバスなど大型車両は必然的に大きくなります。
大型トラックやバスが交差点で乗用車等と違う大きな曲がり方をするのは、この内輪差があるからです。また、この内輪差はバックの時にも発生するので注意が必要です。
・内輪差と外輪差の違い
内輪差は車両が交差点などの曲がり角で内側の前輪と後輪が描く軌道の差のこと。外輪差は同じように車両が曲がり角で外側の前輪と後輪が描く軌道の差です。
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内輪差が原因で発生する事故やトラブルの例
日本で走るトラックのキャビン形状は、エンジン上部に乗車スペースがあるキャブオーバー型が主流です。海外のようなボンネット型トラックは極めて少なく、キャブオーバー型トラックの場合、運転席はほぼ前輪の上に置かれています。前輪の上にいるドライバーは離れた後輪の軌道を想定しながら運転しなければなりません。
それを見誤ると巻き込みや乗り上げの事故を起こしてしまいます。知識と経験は内輪差によって起きる事故を防ぐことができます。内輪差が原因で発生する事故やトラブルの例を紹介しますので、事故防止に役立ててください。
・縁石にぶつかる
交差点の左折時や、車線左側にある目的地への進入時に起きる事故です。交差点が狭路であって大回りができない場合や、対向車との接触を避けるために大回りができずに内輪差が大きくなってしまう場合は、左後輪が左側の縁石にぶつかってしまいます。
この事故を防ぐためには事前に走行経路を選んだり、余裕を持って交通量の少ない時間を選んだりと走行計画も必要です。
・歩道に乗り上げる
タイヤが大きく、馬力の高いトラックは、縁石を乗り越えて歩道に乗り上げることが簡単にできてしまいます。交差点での左折時に大回りができず、内輪差によって後輪を歩道に乗り上げてしまうことがあります。
対向車や後続のオートバイ、自転車の有無をしっかり確認して大きく回って左折してください。
・ガードレールや電柱に接触する
走行する左側のガードレールや電柱への接触も内輪差によって起きてしまうケースがあります。運転するトラックの車幅を意識して内輪差のためのスペースを確保するとともに、左側サイドミラーでガードレールや電柱の場所をよく確認してから、目的場所に左折で進入してください。
・脱輪
脱輪はタイヤが道路から外れたり、縁石や歩道に乗り上げたりして走行できなくなる状態です。道路の左端をサイドミラーでよく確認して、走行するトラックの位置と内輪差を思い描いて運転してください。
・巻き込み事故
交差点の左折時や、車線左側にある目的地への進入時に、後続するもしくは一時停止しているオートバイや自転車がいるかどうかよく確認してください。弱者優先で先に通らせてから進行を開始してください。
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内輪差による事故を防ぐための運転のコツ
内輪差による事故を防ぐためには車両感覚を身につけて、普段の運転で内輪差を意識する習慣を付けることが理想です。そしてどんなに慣れていても、常に細心の注意を払って運転することが必要です。
大切なお客様の荷を預かり安全に届けることは、その荷が無傷であるだけではありません。無事故で届けることができなければならないのです。お客様、そして家族の笑顔のために安全運転を身につけてください。ここでは輪差による事故を防ぐための運転のコツをお伝えします。
・サイドミラーで後輪の位置を確認しながら右左折する
サイドミラーで後輪の位置を確認しながら右左折してください。縁石や歩道、交差点までの中央ラインと後輪の位置を把握しながら後輪の描く内輪差を想像してください。
万が一、ぶつかりそうになったり、交差点を曲がり切れなかったりしたら、一旦停止して後方・周囲を確認した後バックしてハンドルを切り直してもう一度右左折してください。
・曲がるときに後輪の軌道をイメージする
右左折時の後輪の軌道をイメージすることによって、後輪が前輪よりも内側にあるという内輪差を想像できます。必ずサイドミラーを見ながらの運転操作が必要です。
・ハンドルの操作を少し遅らせる
ハンドル操作を早く行うことによって内輪差を大きくしてしまい、事故を起こしてしまう可能性が高くなります。脱輪事故を起こさぬよう、サイドミラーで後輪を確認しながらハンドル操作を少し遅らせてください。
・曲がる際にハンドルを切りすぎない
右左折の際にハンドルを切りすぎると内輪差によって後輪が前輪よりも内側に軌道を描くのでハンドルを切りすぎないでください。万が一切りすぎた場合には、あわてることなく逆にハンドルを切って修正してください。
・大回りしすぎないように注意する
交差点での右左折や、目的地への侵入のために大回りして内輪差を少しでも和らげようとする気持ちは必要ですが、大回りしてしまうと対向車線にはみ出してしまったり、周りにいる車両や歩行者などに迷惑をかけてしまったりするので、かえって危険性を高めてしまいます。大回りしすぎないように注意することも必要です。
・車両の幅と長さを理解して練習を重ねる
車幅が広く、ホイールベースの長い大きなトラックですが、この車幅と車長を自身の感覚でつかんでください。車両感覚をつかんで運転を重ねることで内輪差による事故を防ぐためのコツが身につきます。
安全に練習できる場所を見つけて、できれば運転歴の長い先輩に指導してもらいたいですね。
切り返しや駐車、バックの際にも内輪差と外輪差に十分注意する
車体とホイールベースが長いトラックやバスなどの運転で切り返し、駐車、バックは慣れるまで簡単ではないかもしれません。切り返し、駐車、バックの際にも内輪差と外輪差が関係することをよく認識して運転しなければなりません。
切り返しは、幅の狭い道路の曲がり角や狭隘地で方向転換を行う場合、一度で曲がり切れない時や、方向転換できない時に行います。少しずつ車両の位置と方向を変える切り返しの動作を行なわなければなりません。この場合に内輪差、外輪差が関係してきます。
ハンドル操作が早すぎれば左側後輪は脱輪してしまい、ゆっくりだと右側後輪が脱輪もしくは車線オーバーしてしまいます。それを何度も前進、後退でハンドルを切りながら進まなければなりません。
駐車時においても同様です。前進で駐車場所に進入するのか、バックで進入するのか、そして駐車場所の両サイドにトラックが駐車してあるのかどうかで変わってきます。両サイドに駐車してあれば、狭い曲がり角を曲がるのと同様です。
駐車スペースの前面にどれくらいのスペースがあるかによって切り返しの回数も変わってくると思います。大きく回り込んで前進で進入する際も、駐車場所を通りすぎてバックで進入する際も、両サイドの駐車トラックを道路の曲がり角と考えてください。特にバック時では前輪が後輪よりも外側を移動していきます。これは外輪差になります。内輪差、外輪差を考えて安全に運転してください。

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内輪差の計算方法
実際に運転してみないと、内輪差がしっくりこない人もいるかもしれません。そのような方は一度計算してみるのも内輪差を理解する方法の一つです。内輪差は机上で計算することができます。
計算方法には『簡易な方法』と、正確な内輪差を求めることができる『数学の三平方の定理(ピタゴラスの定理)』の二つの方法があります。
『簡易な方法』は、内輪差≒ホイールベース÷3で求めることができます。
内輪差の正確な計算方法は『数学の三平方の定理(ピタゴラスの定理)』を使って計算することができますが、簡易的な方法と大きく結果は変わりませんので、一般的にはすぐに計算できる簡易な方法で計算します。
簡易的な方法での計算例です。大型トラックのホイールベースは7mほどありますので、仮に7mで計算してみます。
7m÷3≒2.3m
中型トラックの内輪差を計算して比較してみます。中型トラック(4t平ボディ)のホイールベースを4.9mで計算すれば、
4.9m÷/3≒1.6m
となり、ホイールベースの長い大型トラックの内輪差のほうが大きいことがわかります。
まとめ
どんなサイズの自動車にも内輪差はあります。大型トラックや大型バスはホイールベースが長く、カーブ時に前輪と後輪の軌道差が大きいため、内輪差がどうしても生じてしまいます。右左折や切り返し、バック時には内輪差と外輪差のどちらも注意が必要になります。
常に内輪差と外輪差を意識して運転してください。たくさん運転経験を積んで慣れることが、内輪差と外輪差の克服の一番の方法です。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆さまにさまざまな情報をお届けします。
