スリップサインの見方は?車検に通らない使用限度の目安、危険性を解説

タイヤはトラックを含めてすべての車両で一番大切なパーツと言っても過言ではないでしょう。

タイヤはゴムで出来ており、天然ゴムか合成ゴムのどちらが主原料となっています。

トラックの他のパーツのほとんどは金属か樹脂で出来ており、このタイヤのみが異質の存在となっています。

金属や樹脂とは違って、タイヤにはトラックと道路の接地面との柔軟性と強いエッジ力があります。

しかしタイヤは他のパーツより摩耗しやすく、タイヤの溝が減ることによってエッジ力は弱まりスリップする危険性は高まってしまいます。

今回の『豆知識』ではこの危険を読み取るサインである『スリップサイン』についてです。

 

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スリップサインとは?

スリップサインはタイヤの残り溝が1.6mmであることを知らせるサインです。

スリップサインであるタイヤの残り溝1.6mm超の確保は道路交通法と道路運送車両法の保安基準に定められています。

道路交通法ではタイヤの残り溝が1.6mm以下を示すスリップラインが1カ所でも出ていれば違反となります。

道路運送車両法の保安基準においてはスリップライン1.6mm以下のタイヤでは車検は通りません。

タイヤの溝の深さは一般的に約8mmです。

その溝は当然ですが走行によって摩耗します。

5,000㎞の走行で1mmタイヤのトレッド(表面)は摩耗します。

これで計算すると約30,000㎞の走行でスリップラインに到達します。

タイヤは溝が浅くなると、雪柱せん断力やエッジ効果が低下し、駆動力、制動力が低下してしまい、制動距離が伸びてしまいます。

交通事故を未然に防ぎ、安全走行を行うためにスリップラインは私たちにタイヤの適切な交換時期を教えてくれるのです。

 

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タイヤの溝が浅くなることで起きる悪影響は?

タイヤの溝が浅くなることで起きる一番の悪影響はスリップです。

タイヤの摩耗による制動力を失った重い荷を積んだトラックの運転はプロのドライバーの運転テクニックで補えるものではありません。

特に降雨時の高速道路ではタイヤと路面の間の排水性能(水をかきだす力)が落ちてしまい、タイヤが浮いてハンドル操作やブレーキ操作ができなくなるハイドロプレーニング現象(水上滑走現象)を起こしてしまいます。

そして路面に対するタイヤのグリップ力が落ちてしまいタイヤは無駄なくエンジンの力をトラック走行に使うことができなくなり、燃料消費の低下にもつながってしまいます。

 

スリップサインの見方

スリップサインはタイヤのサイドウォール(側面)に三角形(△)のサインがあります。

このサイドウォールにはさまざまな情報が集まっています。

例えばタイヤの製造年月がこのサイドウォールに表記された最後の4桁の数字でわかります。

『4623』の表記を例にしてみます。

最初の2桁は年次の1月1日をスタートとして何週目に製造されたかを表しています。

そして、後半の2桁が西暦の下2桁の年です。

この4623は、46週目(12月)2023年に製造されていることを表示しています。

このようなサイドウォールに4カ所90度ごとに三角形(△)のスリップサインがあります。

その三角形が指し示す延長上の溝に目をやればタイヤ表面の溝の底に盛り上がりの部分があります。

タイヤが摩耗してその部分がタイヤの表面と同じになればタイヤの残りの溝の深さが1.6mmだと知らせ、走行する限界だと教えてくれるサインなのです。

なかなかみにくいかも知れませんが前輪であればハンドルを切って停車すれば4カ所から9カ所あるどれかが見つかるはずです。

後輪は見つけにくいでしょうが4カ所から9カ所ありますから、懐中電灯の明かりに頼って見つけてください。

 

・冬用タイヤの場合

冬期専用のスタッドレスタイヤの場合はノーマルタイヤとスリップサインの見方は変わってきます。

スタッドレスタイヤの場合の摩耗による交換時期の目安はプラットホームという名称のサインが存在しています。

スタッドレスタイヤは、雪道をしっかりつかんで走行するためにノーマルタイヤよりも溝が深くなっています。

スリップサインの高さはプラットホームの高さとは違います。

そしてプラットホームの場合、溝が50%摩耗したら使用限界となります。

スタッドレスタイヤとしての使用限界が来たことを示しており、タイヤ交換の準備を促すサインです。

 

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タイヤの溝の深さの合格ライン

タイヤの溝の深さの合格ラインは先に説明しましたように、道路運送車両法の保安基準においてはスリップライン1.6mm以下のタイヤでは車検は通らないように決まっています。

トレッド面にスリップラインが出てこない状態が車検においての合格ラインです。

しかし、ぎりぎりで車検を通ったとしても毎日タイヤはすり減るものです。

安全と安心のためにも余裕がある溝の深さは確保してください。

ゲージを使ってのタイヤの溝の深さの確認も有用です。

5,000㎞の走行で1mm摩耗するタイヤの溝の深さを計測し、タイヤ交換が必要になる距離数、時期を把握してください。

そして、タイヤの溝は接地面と路面との間の水分を排出するのが主な役割ですが、他にも駆動力や制動力の確保、操縦安定性を高める、放熱性を高めるといった重要な役割も持っています。

重要な役割を持ったタイヤの溝の深さは一般道路と高速道路では使用限度が違っています。

 

・乗用車や軽トラックの場合

タイヤの溝の深さは一般道路と高速道路では使用限度が違っています。

『運輸省自動車局長通達「自動車用タイヤの摩耗限界について」依命通達』として国交省から出されており、自動車の種類(大きさ)によってその使用限度は違います。

高速での走行時にハイドロプレーニング現象が起こりやすいことが基準を設けている理由です。

各自動車の種類(大きさ)のなかで乗用車や軽トラックは高速道路走行時のタイヤの溝の深さの使用限度は一般道路走行時と同じ1.6mmです。

自重の重さとハイドロプレーニング現象との関係の深さを考慮したタイヤの溝の残高の数値です。

自動車が自重の大きなトラックになるほどに一たび事故を起こしてしまえばその被害は大きなものになってしまいます。

 

・小型トラックの場合

小型トラックの場合も一般道路でのタイヤ溝の使用限度は1.6mmで、乗用車・軽トラックと同様です。

しかし高速道路走行時には小型トラックは2.4mmと使用限度が厳しくなっています。

このタイヤ溝の深さ2.4mmを守るために普段からの点検を怠ることなく行わなければなりません。

やはり小型トラックの場合も高速道路走行時、特に雨天の場合の走行時でのスリップや、ハンドルやブレーキが制御できなくなるハイドロプレーニング現象を引き起こさないためです。

 

・大型トラックやバスの場合

そして、大型トラック、バスの場合は当然でしょうが使用限度はさらに厳しくなっています。

一般道路においては乗用車・軽トラック、小型トラックと同じ1.6mmが使用限度となっています。

しかしながら高速道路走行時には3.2mmと、軽トラックや小型トラックよりもさらに厳しく制限されています。

高速道路走行時の大型トラックの制限速度は乗用車・軽トラック、大型バスの制限速度よりも抑えられた時速80㎞となっていますが、さらにこのタイヤ溝の深さの使用限度においても厳しく制限されています。

乗用車・軽トラック、大型バスよりも車両総重量が重くなる大型トラックにおいては仕方のない宿命とも言えるでしょう。

 

スリップサインを無視した場合の罰則は?

スリップサインを無視してそのまま運転を続けることは整備不良車を運転し続けていることになります。

そして、道路運送車両法の保安基準に適合していないために危険を生じる可能性がある整備不良車を運転することは、道路交通法第62条において禁止されています。

スリップサインを無視してそのまま運転を続けることはスリップやハイドロプレーニング現象、燃費の低下や最悪は事故を起こしてしまい会社の信用の失墜にいたったりするばかりではありません。

トラックのスリップ事故は重大事故につながります。

人の命を奪い、人の人生を変えてしまいます。

スリップサインの無視は道路交通法に違反することとなり、違反点数や罰金が科される対象となってしまいます。

 

・スリップサインの違反点数

スリップサインの違反点数は大型車で2点です。

ちなみに普通車・自動二輪車も2点です。

複数個所あるスリップサインのうち、1カ所でもそのサインが出ていれば、整備不良とみなされて違反点数2点を加点されてしまいます。

2点といえどもプロのドライバーとして、免許証は命の綱とも言えますので一大事です。

日常点検でのスリップサインの確認は入念に行って、余裕を持ったタイヤ交換を心がけるようにしてください。

 

・スリップサインの罰金

スリップサインの罰金は大型車で12,000円です。

ちなみに普通車で9,000円、自動二輪車で7,000円になります。

スリップサインが現れる溝の深さは1.6mmですが、実際安全に走行するためには溝の深さは3㎜程度必要です。

道路交通法と道路運送車両法の保安基準で定められた1.6mmですが、雨天時にこの溝の深さは運転に大きく影響してきます。

車重の重いトラックのタイヤはその重みで潰れてしまい、ぬれた路面では滑りやすく、制動距離も長くなってしまいます。

 

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スリップサインが出たら!タイヤの交換目安は?

スリップサインが出たら、即時にタイヤ交換を行わなければなりませんが、その時が長距離輸送の途中であったりしたら取り換えることはできないかも知れません。

一般的な走行を想定して5,000㎞の走行で1mmタイヤの表面は摩耗します。

これで計算すると32,000㎞走ると6.4mm摩耗することになります。

新品のタイヤの溝の深さは8mmです。

これで計算すると8mm-6.4mm=1.6mmと、ルールによる限界ギリギリの溝の深さとなります。

32,000㎞に達する前の30,000㎞を走行距離による確認の目安にしていただいたら良いと思います。

しかし、走行する道路の状態や、積み荷の重さ、運転の仕方で摩耗は当然変わってきますので、あくまでも目安としてお考え下さい。

そして、期間(年数)の目安としては3~5年と考えてください。

たとえ屋根付きの環境の良い状態に駐車していてタイヤの溝の深さが1.6mmよりあったとしてもタイヤの原材料であるゴムは時間とともに劣化してヒビや裂け目を作ってしまいます。

そんな状態も整備不良としての取り扱いになってしまいます。

 

スリップサインが現れる主な原因は?【症状別】

スリップサインが現れるのにはさまざまな原因があります。

タイヤの溝の減り方は、トレッド面が一様に摩耗してトレッド全体のスリップサインが一度に出てくるとは限りません。

スリップサインの出方にはさまざまな出方があり、摩耗の仕方が偏るのはトラックに不具合がある証拠にもなります。

その偏りになって表れている症状を理由とともにご紹介します。

 

・ショルダー摩耗

タイヤトレッド部の両端とタイヤショルダー部に過度な摩耗が集中している状態をショルダー摩耗と言います。

このショルダー摩耗の原因には空気圧不足が考えられます。

空気圧不足の場合には道路面と接地するトレッド部の圧が弱くなり中央部分に空気圧がかからずタイヤの左右のショルダーに車重はかかってきてしまいます。

そのためにショルダー部の摩耗が進んでしまいます。

加えて、空気圧不足はタイヤのたわみを起こし過剰な熱が発生してしまい、燃費を悪化させたり最悪の場合にはバーストを起こすこともあります。

このようなことを防ぐために推奨される空気圧を保つことが必要です。

 

・センター摩耗

このセンター摩耗はショルダー摩耗と逆のパターンです。

空気圧が過多なために空気圧の負荷がタイヤセンターに集中してふくらんでしまったセンターのトレッドばかりが摩耗してしまうのです。

ただ、積載量によって空気圧の調整が必要な場合もあります。

重めの積載の場合には推奨される標準空気圧よりも加圧される場合もあります。

推奨空気圧は、自動車の取扱説明書または運転席(助手席)ドアピラーや給油口のふた等のステッカーで確認してください。

 

・片側摩耗

片側摩耗はタイヤの片側だけが過度に摩耗した状態です。

タイヤのトレッド面が正しく道路と接地していなくて片側だけが摩耗してしまっています。

ホイールの設置に問題がありホイールのアライメント(タイヤの取り付け具合)やキャンバー(タイヤの倒れ具合)が適切でありません。

適切な調整が必要になります。

 

タイヤを長持ちさせるための走り方

タイヤを長持ちさせようと思うのでしたら優しく走ってください。

厳禁なのは急ブレーキ、急発進、急加速、急ハンドルです。

ゴムであるタイヤに過度な負担をかけないでください。

そして忘れていけないのはスピードの出し過ぎです。

高速運転でタイヤは熱を持ち、摩耗を進めてしまうからです。

優しく走ってタイヤを長持ちさせてください。

 

タイヤを長持ちさせるための保管方法

タイヤの品質を劣化させないで長持ちさせて保管する方法です。

まずタイヤの理想的な保管場所は屋根のある場所で、空気がこもらない冷暗所が望ましいです。

しかし現実的には物置や倉庫のような狭い空気が滞留する暑い場所の場合が多いと思います。

そのような場合にはタイヤが熱で変形を起こしたり湿度でカビが生えたりする可能性もあります。

タイヤを早く劣化させないために時々空気の入れ替えをして熱や湿気が溜まらないようにしてください。

やむをえず屋外で保管する際はタイヤ保管の収納グッズを利用して出来る限りの適した環境を作ってください。

地面に流れる雨水でタイヤが濡れることを避けるためにタイヤラックは有用です。

直射日光のうちタイヤの劣化を進める紫外線予防のタイヤカバーも有用です。

さまざまな方法でタイヤの品質を守って保管したいものです。

 

スリップサインと同時にチェックしたいタイヤの症状

タイヤが表わす症状はスリップサインだけではありません。

健全な走行ができるようにスリップサインと同時にチェックしたいタイヤのその他の症状をご紹介します。

 

・空気圧の異常

タイヤの症状で非常に重要なのがこの空気圧の異常です。

この空気圧が異常のまま走行してしまうことでショルダー摩耗やセンター摩耗は起こってしまいます。

タイヤが健全な状態でタイヤの寿命を迎えるためには適切な空気圧の調整なしではありえません。

タイヤの適正空気圧は運転席のドアを開けると見えるシールで確認してください。

車種によっては給油口の裏に表示されている場合もあります。

 

・ひび割れ症状

タイヤの寿命は3年~5年、距離数で30,000㎞です。

タイヤはその使用環境にもよりますがスリップサインが現れるばかりではなく、経年劣化でひびが発生します。

このひびの有無は車検での検査項目にもなっています。

そのまま走行を続ければ、バーストにつながる可能性もある危険な状態です。

 

・そのほかの損傷

トラックのパーツで唯一地面と接触するのがタイヤです。

雨風雪、炎天下とさまざまな気象状況下をきれいに舗装された道路ばかりを走るわけではありません。

経年劣化で生まれるひびばかりではなく、悪路を走ったことでタイヤのトレッドゴムとブレーカーやカーカス、タイヤ内側の部分がはがれてしまうトラブルもあります。

そして、悪路に落ちている釘や金属片、ガラス片などを拾ってしまう場合もあります。

これらの損傷も大きな事故につながりますので日常点検が非常に重要になります。

 

・スリップサイン以外のタイヤの交換の目安は

スリップサイン以外にもタイヤ交換の目安はあります。

タイヤはゴムで出来た寿命ある生き物だと考えてください。

時間、走行距離数や目視による切れ目や裂け目などはその寿命を自ら教えてくれています。

日々の点検が重要になります。

下記の過去記事もご参照ください。

※TRUCK BIZ 2022年3月の過去記事です。

『日常・定期点検はトラックの不具合に気づくチャンス!状態のよいトラックは高く買い取られやすい!』

 

①走行距離数

トラックやバスのタイヤの交換時期は走行距離数を目安として考えることも可能です。

普通に走行すれば32,000㎞でスリップサインがタイヤの交換を知らせてくれます。

これに合わせて30,000㎞を目安として交換時期だと認識しておいてください。

車検や3ヶ月、12ヶ月の定期点検に合わせて交換することは点検・整備費用を安く済ませる経費節減の役にも立ってくれます。

 

②使用時間数

タイヤの表面の原材料はご存じの通りゴムです。

ゴムは時間とともに劣化します。

使用せずに倉庫に眠らせておくだけでも劣化してしまいます。

タイヤの製造年月日はタイヤサイドの表示で確認できます。

トラックやバスのタイヤは4年~5年が交換の目安です。

それ以降は日々の念入りな点検が必要になり、古いタイヤの装着は道路交通法違反にもなりますので注意してください。

 

③走行中のロードノイズ、スリップ

普段聞きなれないロードノイズを耳にしたり、普段ならばあり得ないタイミングでのスリップを経験されたら、まずはタイヤの異常を疑ってください。

道路に落ちていた鉄片やガラスをタイヤが拾っていて、そのまま走り続けるとタイヤがバーストして大事故につながってしまう可能性もあります。

ディーラーや整備工場に相談し、タイヤに原因があるならばすぐに交換してください。

 

まとめ

スリップラインはトラックの健康状態を見やすくするものでもあり、車検項目にも上がる重要な点検個所です。

トラックのタイヤは非常に重要なパーツです。

トラックの健康状態を良好に保つためにも日常点検ではタイヤの状態を良く見てください。

日々の点検が安全走行につながります。

『豆知識』の過去記事、日常・定期点検をご参照下さい。

『日常・定期点検はトラックの不具合に気づくチャンス!状態のよいトラックは高く買い取られやすい!』 2023.03.28

 

トラックファイブは『豆知識』でこれからもさまざまな情報を皆さまにお届けします。

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