
トラックのトランスミッションの構造や仕組みは? 主な種類や故障を防ぐ方法などを解説
トラックのトランスミッションは、エンジンの力を車輪に効率的に伝える重要な部品です。
トランスミッションの種類には、マニュアルやオートマチック、セミオートマチックなどがあり、それぞれ特徴や利点が異なります。また、故障すると高額な修理費用が必要になる場合もあり、予防策が重要です。長距離運送や重い荷物を運ぶトラックでは、頑丈な構造と適切なメンテナンスが欠かせません。
今回の『豆知識』では、トランスミッションの仕組みや主な種類、修理費用、故障を防ぐ方法を詳しく解説します。
ドライバーやトラックオーナーは、これらの知識を活かして安全な運行とコスト管理に役立ててください。トラックの性能を維持し、長く使用するためにも、トランスミッションの理解が不可欠です。
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目次

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トラックのトランスミッションとは
トランスミッションとは、速度や負荷に応じてギアを調整して、エンジンの出力を効率的に駆動輪に伝える変速機のことです。トラックをはじめ、どの車両も相当な重量があり、その車体を動かそうとすれば車輪を回す力(トルク)が必要です。この始動時の力(トルク)を生み出すために、エンジンの出力をトランスミッションで大きなものに変えています。
トランスミッションを介さずエンジンの力を直接車軸(車輪)に伝えても回転させるだけの力がないので、エンストを起こしてしまいます。トランスミッションはエンジン出力軸の回転力を、ギアの組み合わせを使って変えることでトルクを大きくし、車両は力強く発進させます。
しかし、そのまま走行していたら、いつまでもスピードは上がらず出力の上がったエンジンは焼き付いてしまいます。車両は慣性の法則で動き出すと、始動時ほどのトルクは必要なくなりますが、車軸(車輪)の回転数を上げていかなければなりません。その回転速度とトルクを変えるのもトランスミッションの役目なのです。
トランスミッションはエンジンの出力を負担なく車軸に伝えて、重量のあるトラックをスムーズに走行させているのです。
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トラックのトランスミッションの構造
トランスミッションはいくつかの部品で構成され組み立てられています。その部品で原動力となるエンジンの力を、車軸に伝えて車両を動かす役目を果たしています。ここではそれぞれの部品について詳しく解説します。
・ギア
ギア(歯車)の歴史は古く、紀元前にはすでに考案されていたようです。ギアはその組み合わせによって、小さな力を大きくしたり、大きな力を小さくしたりすることができます。その歯形の違いを活用して力の方向を変えることもできます。
多くのギアが配備されたトランスミッションはギアボックスとも呼ばれます。ギアは自動車においてトランスミッションだけではなく、ディファレンシャルやステアリング、ウォーターポンプ、オルタネーターなどさまざまな装置を駆動させています。
・クラッチ
エンジンとトランスミッションの間にあり、発進や停止、変速時にエンジンの力を車輪に伝えたり遮断したりするのがクラッチです。クラッチにはいくつか種類があります。その中でも摩擦クラッチはマニュアルトランスミッション(MT)に採用されています。
2枚の円板の摩擦力によって動力を伝える仕組みです。2枚の円板を切り離し、トランスミッション内のギアの組み替えを手動で行います。
一方、流体クラッチは液体で満たされた2枚の回転翼のうち片方を回して液体の流れを作り、反対側の回転翼も回す仕組みです。オートマチックトランスミッション(AT)車に多く搭載されています。
・シンクロナイザー
シンクロナイザーはトランスミッション内でギアの組み替えをスムーズに行うための機構です。回転数の違うギア同士をそのまま繋げると、ギア同士がぶつかり合ってギアが入らず車両に大きな負担を与えます。
シンクロナイザーはエンジンと車軸の回転数を調整しギアをスムーズに組み合わせるのです。
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トラックのトランスミッションの仕組み
トラックのトランスミッションは、エンジンから発生した力を適切な速度とトルクに変換し、車輪に伝える仕組みです。その中心となる部品には、ギア、クラッチ、シンクロナイザーがあります。
まず、エンジンの回転力をクラッチが受け取り、切り替えや接続を調整します。クラッチを踏むとエンジンとトランスミッションが分離し、ギアをシフトする準備が整います。
次に、ギアが回転速度や負荷に応じて力を調整し、異なる速度範囲に対応します。トラックでは多段ギアが採用され、低速で大きなトルクが必要な場合や高速走行時にも対応します。
シンクロナイザーは、ギアの回転数を同期させ、滑らかなシフトチェンジを可能にします。具体的には、シフトレバーを動かすとシンクロナイザーが作動し、ギア同士の回転差を調整して衝撃を軽減します。これらの部品は、順番に連携して動作し、トラックがさまざまな道路状況や荷重に適応できるようにします。
定期的な点検が欠かせず、摩耗や油不足が故障の原因となるため、適切なメンテナンスが重要です。
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トラックのトランスミッションの主な種類
トラックのトランスミッションにはさまざまな種類があります。各トランスミッションの特徴を確認していきましょう。
・マニュアルトランスミッション(MT)
マニュアルトランスミッション(MT)は、ドライバーが手動でシフトレバーを操作してギアを切り替える仕組みです。クラッチペダルを踏み、適切なタイミングでシフトすることで、エンジン出力と車速を調整します。
トラックでは耐久性が高く、整備が比較的簡単な点が特徴です。また、燃料効率が良く、長距離運送でコストを抑えたい場合に適しています。しかし、操作に慣れが必要で、初心者には扱いが難しい面もあります。トラックの重い荷物に対応するため、多段ギア(6~12速)が一般的で、坂道や積載時のパワーを確保できます。
メンテナンスを怠るとクラッチ板の摩耗が進むため、定期的な交換が必要です。MTは伝統的な技術を活かした選択肢として、現在も多くのトラックで使用されています。
・オートマチックトランスミッション(AT)
オートマチックトランスミッション(AT)は、ドライバーの操作なしに自動でギアを切り替える仕組みです。トルクコンバーターがエンジン力を受け取り、油圧や電子制御でシフトを調整します。
ATを使用することで、トラックでは運転負担が軽減され、長時間運転の疲労を減らす利点があります。特に都市部での頻繁な発進・停止に適しており、初心者にも扱いやすいシステムです。しかし、構造が複雑で故障した際、修理費用が高額になる傾向があります。
また、燃料効率がMTに比べて劣る場合があり、長距離運送ではコストが課題となることがあります。トラック用ATは耐久性を高める設計が施されていますが、重い荷物や過酷な環境では通常より摩耗が進む可能性があります。快適さと利便性を重視するドライバーに支持されています。
・セミオートマチックトランスミッション(セミAT)
セミオートマチックトランスミッション(セミAT)は、マニュアルとオートマチックの利点を組み合わせた仕組みです。クラッチ操作を自動化しつつ、ドライバーがシフトタイミングをある程度制御できます。
電子制御ユニットがギア選択を支援し、ペダル操作を簡略化します。メリットとして、運転負担が軽減されつつ、MTのようなパワーコントロールが可能な点が挙げられます。また、燃料効率がATより優れており、トラック運送での経済性を高めます。
一方で、デメリットとして、システムの複雑さから故障時の修理コストが上がる場合があります。さらに、電子部品の不調でシフトミスが起きるリスクも考慮が必要です。近年、セミATはトラックで増えてきています。
長距離や重荷運搬の効率化を求める運送業界で注目され、自動化技術の進化が背景にあります。以下に、各社の名称をまとめます。
メーカー | セミAT名称 |
いすゞ自動車 | スムーサー |
日野自動車 | プロシフト |
三菱ふそうトラック・バス | イノマット |
UDトラックス | エスコット |
・コンティニュアス・ヴァリアブル・トランスミッション(CVT)
コンティニュアス・ヴァリアブル・トランスミッションは、英語の(Continuously Variable Transmission)で、無段変速機あるいは連続可変トランスミッションと訳されます。
ATの仲間といえるこのシステムは、ギアがなく、ベルトやチェーンを通じて2つの滑車(プーリー)の幅を変えながら動力を伝えます。ギアで変速する一般的なトランスミッションと比べるとスムーズに加速し走行できるのが特徴です。
しかし、ハイパワーエンジンには対応できておらず、安価に製造できることもあって、軽自動車で多く採用されています。
・デュアルクラッチトランスミッション(DCT)
デュアルクラッチトランスミッション(DCT)は、2つのクラッチを備えたトランスミッションで、奇数段と偶数段のギアを交互に切り替えます。電子制御でシフトチェンジが迅速に行われ、MTのような素早い変速とATのようなスムーズさを両立します。
メリットとして、加速性能が優れており、長距離走行での効率性が向上します。また、燃料消費を抑えられる点も評価されています。
一方、デメリットは構造の複雑さから修理費用が高額になりやすく、トラックのような重荷では耐久性が課題となる場合があります。2025年現在、DCTは乗用車で一般的ですが、トラックへの採用はまだ限定的です。
過酷な使用環境での信頼性が確立されれば、将来的に普及する可能性があります。ドライバーは、DCTの特性を理解し、メンテナンスを怠らないことが重要です。
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トラックのトランスミッションが故障したときの症状と対処方法
トラックのトランスミッションが故障した場合の症状は、警告灯のサインばかりではありません。ドライバーだからわかるトランスミッションの故障時の症状と対処方法を解説します。
・警告灯が点灯している
ギアマークの真ん中に「!」の警告灯がトランスミッションの異常を知らせる警告灯です。ATの電子制御システムに異常があるときに点灯します。MT車には装備されていません。
急停車や急加速をしないようにして、ディーラーや整備工場などに持ち込む方法を考えてください。
・変速時に違和感があり、加速がしづらい
変速時に違和感があり、加速しづらい場合の多くはトランスミッションでの異常が予想されます。そのような場合、ドライバーが原因の追究や修理をすることはできません。
トラブル発生を前提として、車両をなるべく早く安全な場所に停車させて、ディーラーや整備工場に連絡して指示を仰いでください。
・異臭や液漏れが見られる
異臭や液漏れが見られる場合は、トランスミッション内のギアの潤滑剤であるミッションオイルが何らかの原因で漏れ出している可能性があります。そのオイルがなくなってしまうと、ギアが直接噛み合い摩擦熱で高温になって異臭を発生させます。
トランスミッションの破損にもつながる危険な状態ですので、なるべく早く側道や広い場所などに停車してディーラーや整備工場に連絡して対応策を考えるようにしてください。
・変速時に異音や振動がする
トランスミッションから異音や振動がする場合には、その多くがミッション内部に損傷などを起こしている可能性があります。そのまま走行できなくなるケースも十分考えられます。
無理に走行すれば、さらに重いトラブルを引き起こす可能性もあるので、変速時に異音や振動を感じた場合には無理に走行を続けないで側道や広い場所などに停車してディーラーや整備工場に連絡をしてください。
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トラックのトランスミッションの修理費用
トランスミッションの部品は消耗品であるため、故障した場合は交換が必要です。トラックでは長時間稼働や重い荷物の運搬により、ギアやクラッチ、シンクロナイザーが摩耗しやすく、定期的な点検が欠かせません。
修理費用は故障の程度やトラックメーカーにより変わりますが、クラッチ交換で10万~30万円、ギアボックスのオーバーホールで50万~100万円かかる場合があります。シンクロナイザーや電子制御ユニットの修理は、さらに高額になることもあります。
修理費用が高額になる場合、トラックの走行距離や全体の状態を考慮すると、買い替えたほうが経済的なケースもあります。たとえば、走行距離が50万kmを超え、修理費用が100万円を超える場合、新車や中古車の購入(200万~400万円)が長期的なコストを抑えられることがあります。
修理を検討する際は、専門家に診断を依頼し、コストと寿命を比較してください。予防メンテナンスを怠らないことが、大きな出費を避けるカギとなります。
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トランスミッションの故障を防ぐ方法
トランスミッションの故障を防ぐためには、日常的なケアが重要です。以下で、具体的な方法を紹介しますので、ぜひ実践してください。
・丁寧な運転を心がける
丁寧な運転を心がけることで、トランスミッションの負担を軽減できます。急発進や急ブレーキを避け、シフトチェンジはスムーズに行います。特に坂道や重荷時は、低速ギアを適切に使い、エンジンに過度な負荷をかけないようにします。
ドライバーの運転習慣がトランスミッションの寿命に大きく影響するため、意識的な操作が大切です。
・オイルを定期的に交換する
オイルを定期的に交換することは、トランスミッションの故障を防ぐカギです。オイルはギアやクラッチの摩擦を減らし、熱を調整する役割を果たします。トラックメーカーの推奨に従い、通常は走行距離5万kmまたは1年ごとに交換します。使用環境が過酷な場合(長距離や重荷)は、3万kmごとが理想です。
古いオイルは汚れや金属片を含み、部品を摩耗させる原因になります。交換時は、専用のトランスミッションオイルを使用し、専門業者に依頼すると安心です。オイルレベルや状態を定期的にチェックし、異音や変色があれば早めに点検を受けます。この簡単なケアで、修理費の節約とトラックの長寿命化が期待できます。
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トランスミッションに関するQ&A
よくあるトランスミッションに関するQ&Aです。参考にしていただければ幸いです。
・トラックのATが故障した場合、どう対処すればよいですか?
トラックに限らずATのシステムに不具合、故障を起こしてしまった場合には、プロの整備士でなければ対応できないでしょう。まずはあわてずに安全な場所に停車して、ディーラーや整備工場に連絡して指示を仰ぎましょう。
・CVTはクラッチが滑りやすいですか?
クラッチ滑りは、アクセルペダルを踏んでもエンジンの回転だけが上がるといった状態のことです。CVTのクラッチ滑りは潤滑油であるCVTフルードの経年劣化が原因になります。経年劣化は潤滑性能や粘度・温度特性を失うだけではありません。
トランスミッション内部にスラッジを溜めてしまいます。スラッジは性能低下を引き起こし、CVT内部のスターティングクラッチ板の表面に汚れとなって付着してしまいます。これが原因となってクラッチ滑りになってしまいます。
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まとめ
トランスミッションはエンジンの力を車軸に伝える非常に重要な役割を担った装置です。安全・安心にお客様の荷を運ぶトラック輸送にあってはならないトランスミッションのトラブルを防ぐためにも、定期点検は大事にしてください。経年劣化による修理費用が大きくなってきたらトラックの乗換えの検討に入らなければならないでしょう。
年間13,000台以上の買取実績を持つトラックファイブは、皆さまのご不要になったトラックや重機の高価買取に役立たせていただきます。
トラックファイブは『豆知識』でこれからもさまざまな情報をお届けしていきます。みなさまのこの先の安全走行を心より祈念いたします。
