
ディーゼル排出ガス規制とは? その対象や違反による罰則、車検対策を徹底解説
ディーゼル排出ガス規制は、ディーゼル車から排出される有害物質を減らし、環境と健康を守るための重要な取り組みです。近年、都市部での大気汚染問題が深刻化する中、ディーゼル車の排出ガスが注目されています。
この規制は、特定の車両や地域を対象に適用され、違反には罰則が科されることもあります。また、規制に対応するためには車検対策が必要で、買い替えや改造が検討されます。
本記事では、ディーゼル排出ガス規制の概要や目的、背景、対象、違反時の影響、そして車検対策や今後の展望を詳しく解説します。トラックやバスを所有する方や、環境問題に関心のある方は、規制内容を理解し、適切に対応してください。
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目次

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ディーゼル排ガス規制とは
ディーゼル排出ガス規制とは、ディーゼル車から排出される窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの有害物質を制限する法律です。この規制は、大気汚染による健康被害や環境破壊を防ぐことを目的として制定されました。背景には、都市部でのスモッグやそれによる呼吸器疾患の増加があり、国際的な環境基準への対応も求められての結果でした。
現在の状況では、日本や欧州など多くの国で段階的な強化が進められており、車両の排出ガス浄化装置の搭載が義務づけられています。対象となるのは、ディーゼルトラックやバスなど特定の車種や年式で、地域によっては運行制限も課されます。詳細は後述しますが、規制対象車は車検で適合基準を満たす必要があります。
違反すると通行禁止命令や罰則が科される可能性があり、車検対策としてDPFや酸化触媒の取り付け、または買い替えが検討されます。
今後の展望としては、規制がさらに厳しくなる見込みで、自動車開発やそれにかかる費用によって車両価格にも影響を与えるでしょう。以下で、目的や背景、対象などを詳しく説明します。
・ディーゼル排出ガス規制の目的
ディーゼル排出ガス規制の目的は、大気汚染を減らし、国民の健康を守ることです。ディーゼル車から排出される窒素酸化物(NOx)は、光化学スモッグや酸性雨の原因となり、呼吸器疾患や心臓疾患のリスクを高めます。
また、粒子状物質(PM)は微細な粒子が肺に侵入し、アレルギーや喘息を引き起こす恐れがあります。こうした有害物質の排出量を削減し、クリーンな空気環境の実現を目指します。さらに、地球温暖化対策の一環として、二酸化炭素(CO2)の排出削減にも寄与します。環境保全と公衆衛生の向上を両立させるため、厳しい基準が設けられています。
・ディーゼル排出ガス規制の背景
ディーゼル排出ガス規制が制定された背景には、深刻な大気汚染問題があります。1990年代以降、日本や欧州で都市部のスモッグが頻発し、呼吸器疾患や死亡率の上昇が報告されました。特にディーゼル車は、ガソリン車に比べてNOxやPMの排出量が多く、トラックやバスが集中する地域で問題が顕著でした。
国際的には、1990年代の国連環境会議や2005年の京都会議で、環境基準の強化が求められ、各国が規制を導入しました。日本では、2000年代に自動車NOx・PM法が施行され、ディーゼル車の規制が始まりました。さらに、2015年のパリ協定で地球温暖化対策が加速し、ディーゼル排出ガス規制も強化されました。これにより、都市部での健康リスク低減と環境負荷の軽減が急務となり、段階的な規制強化が続いています。
・ディーゼル排出ガス規制の現状
現在の規制基準値は、車両の排出ガス性能を評価するもので、以下にまとめます。
引用:新車排出ガス規制の経緯(国交省『新車に対する排出ガス規制について』) ※車両総重量3.5tを超えるトラック・バスです。
https://www.mlit.go.jp/common/001185984.pdf
基準年 | NOx(g/kWh) | PM(g/kWh) | 備考 |
2005年(H17年) | 2.0 | 0.027 | 新長期規制 |
2010年(H22年) | 0.7 | 0.013 | ポスト新長期規制 |
2016年(H28年) | 0.4 | 0.01 | 最新基準(2025適用) |
これにより、ディーゼル車はより高い浄化性能が求められ、古い車両は適合が困難です。特に2025年以降、都市部では2016年(H28年)基準未満の車両が運行制限の対象となっています。一方で、自動車メーカーは環境に配慮した開発を進めています。
トヨタや日産は、DPFと酸化触媒を統合したシステムを開発し、NOxを90%削減する技術を導入しています。ボルボやメルセデスも、バイオディーゼル対応エンジンを展開し、CO₂排出を低減しています。これらの取り組みは、規制対応と持続可能な輸送を実現するものですが、開発コストの上昇で車両価格が5~10%上昇する傾向です。
メーカーは電気トラックへの移行も加速させており、2025年は過渡期として注目されます。
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ディーゼル排ガス規制の対象
規制の対象は各自治体によって設けられた規制基準をクリアできないディーゼルエンジンを搭載した車両です。この規制は各自治体によって詳細に定められています。
・規制対象ナンバー
ディーゼル規制の対象車両は車検証もしくはナンバーによって見分けることができます。規制の対象となる車種のナンバーは以下のとおりで、ナンバープレートの分類番号(地名の右側の数字)がそれに当たります。
車種 | ナンバー |
貨物自動車 | 1ナンバー 10~19 100~199
4ナンバー 40~49 400~499 6ナンバー 60~69 600~699 |
大型バス(乗車定員30人以上) | 2ナンバー 20~29 200~299
6ナンバー 60~69 600~699 |
マイクロバス(定員11人以上30人未満) | 5ナンバー 50~59 500~599
7ナンバー 70~79 700~799 6ナンバー 60~69 600~699 |
特種用途自動車 | 8ナンバー 80~89 800~899 |
乗用車(3、5、7ナンバー)は規制の対象外です。上記規制ナンバーで規制解除装置(DPFや酸化触媒)を取り付けていれば規制対象外になります。
・規制対象車両区分
車両総重量 | NOx | PM |
1.7t以下 | S63年規制ガソリン車並 | H14年ディーゼル規制の1/2並 |
1.7t~2.5t以下 | H6年規制ガソリン車並 | H14年ディーゼル車規制の1/2並 |
2.5t~3.5t以下 | H7年規制ガソリン車並 | H15年ディーゼル車規制の1/2並 |
3.5t~ | H10,11年ディーゼル車規制値並 | H10,11年ディーゼル車規制値並 |
※一般社団法人日本自動車工業会資料を参照
https://www.jama.or.jp/operation/ecology/diesel/table.html
・規制対象地域
規制対象地域では、規制該当車での運行や走行ができない場合があります。東京、大阪の大都市圏では厳しい制限が設けられて、規制対象車の進入が制限されています。違反すると罰則が課されます。規制対象地域を表にまとめました。
対象地域 | 自治体名称 |
東京都 | 東京都内全域 (伊豆諸島、小笠原諸島などの島部は除く) |
埼玉県 | さいたま市、川越市、熊谷市、川口市、行田市、所沢市、加須市、本庄市、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、深谷市、上尾市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、鳩ヶ谷市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、上福岡市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、日高市、吉川市、伊那市、吹上町、大井町、三芳町、川島町、吉見町、上里町、大里町、岡部町、川本町、花園町、騎西町、南河原村、川里町、宮代町、白岡町、菖蒲町、栗橋町、鷺宮町、杉戸町、松代町、庄和町 |
神奈川県 | 横浜市、川崎市、相模原市(旧津久井町、旧相模湖町、旧藤野町を除く)、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、秦野市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、綾瀬市、葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、愛川町 |
千葉県 | 千葉市、市川市、船橋市、松戸市、野田市、佐倉市、習志野市、柏市、市原市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ヶ谷市、浦安市、四街道市、白井市 |
愛知県 | 名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市 (旧藤岡町 旧小原村 旧足助村 旧下山村 旧旭町及び旧稲武町を除く)、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市(旧祖父江町を除く)、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、愛西市(旧立田村・旧八開村を除く)、東郷町、長久手町、西枇杷島町、豊山町、師勝町、西春町、春日町、清洲町、新川町、大口町、扶桑町、七宝町、美和町、甚目寺町、大治町、蟹江町、十四山村、飛鳥村、弥富村、阿久比町、東浦町、武豊町、幸田町、三好町 |
三重県 | 四日市市、桑名市(旧多度町を除く)、鈴鹿市、木曽岬町、朝日町、川越町 |
大阪府 | 大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、池田市、吹田市、泉大津市、高槻市、貝塚市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市、河内長野市、松原市、大東市和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、東大阪市、泉南市、四條畷市、交野市、大阪狭山市、阪南市、島本町、忠岡町、熊取町、田尻町 |
兵庫県 | 神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、加古川市、宝塚市、高砂市、川西市、播磨町、太子町 |
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ディーゼル排出ガス規制に違反するとどうなる?
ディーゼル排出ガス規制に違反すると、運行停止や罰金が課される可能性があります。新車登録から一定の猶予期間(通常5年)があり、その後は規制基準に適合する必要があります。
以下で、違反時の具体的な影響を説明します。準備を怠ると、業務に支障をきたす恐れがあります。
・通行禁止命令
規制に違反した場合は、 「知りませんでした」では済まされることではありませんので注意が必要です。
まずは通行禁止命令です。条例に違反した運転者または使用者は、その自動車の運行禁止命令を受けることがあります。
・罰則
自治体の条例ごとの罰則ですが、通行禁止命令に従わないときには、氏名公表、罰則として50万円以下の罰金となる場合があります。荷主にも必要な措置をとることの勧告や氏名公表の適用もあります。
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ディーゼル排出ガス規制対象車の車検対策
ディーゼル排出ガス規制対象車を車検に通すには、適切な対策が必要です。以下で、具体的な方法を紹介しますので、準備を進めてください。
・規制解除装置の設置
まずはディーゼル規制条例で認められている規制解除装置を取り付ける方法があります。具体的には以下の項を参照してください。根本からの対策とはなりませんが、医療における対症療法と同様に効果はあります。
1.DPF
規制解除装置の一つです。DPF はDiesel Particulate Filter(ディーゼルパティキュレートフィルター)の略語で「ディーゼル微粒子捕集フィルター」のことです。排気ガス中の粒子状物質 (PM) を漉し、減らすフィルターです。
大型の装置で設置スペースの確保、そして定期的なメンテナンスも必要です。フィルターの素材は、熱に強いセラミックが用いられてきましたが、高価なためステンレスを用いるものもあります。取付け費用は約50万円~100万円かかります。
2. 酸化触媒
酸化触媒は、排出ガス中の窒素酸化物(NOx)や一酸化炭素(CO)を酸化分解する装置です。触媒反応を利用し、有害物質を無害な窒素や水蒸気に変える仕組みです。取り付け費用は、車両サイズや既存設備の状態にもよりますが30万~70万円が目安です。取り付けには専門業者が必要で、取付け期間は1~2週間かかります。
酸化触媒は、DPFと組み合わせることでより効果が高まり、車検対応が容易になります。ただし、定期的な触媒の交換(5~7年ごと)が必要で、維持コストが交換時に10万~20万円程度かかります。古いトラックではエンジンとの互換性が問題になる場合もあるため、事前の適合確認が重要です。
・車を買い替える
規制対象車でも、買取に出して買い替えを行うことが一つの対処法となります。古いディーゼル車は、通常の改造費用(50万~150万円)が、新車購入(300万~400万円)より高額になる場合があり、そのような場合には買い替えが経済的です。廃車買取業者は、不動車でも買取することがあります。
たとえば、走行距離30万kmを超えても、部品や素材に価値があれば査定額が上がります。買い替えれば、最新の排出ガス浄化装置を搭載した車両が手に入り、規制対応が不要になります。新車は燃費効率も良く、長期的にはコストを抑えられます。
買取査定は無料で、オンラインや電話で簡単に依頼可能です。買い替えを検討する際は、現在の車両の状態や規制地域を確認し、複数の業者から見積もりを取ると良いでしょう。環境負荷の少ない車両を選ぶことも、将来の規制強化に備える賢い選択です。
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ディーゼル排出ガス規制の今後
ディーゼル排出ガス規制は、今後もさらに厳しくなる見込みです。欧州では、2035年までに新車販売から内燃機関車を全廃し、電気自動車(EV)への移行を目標としています。
日本も2050年カーボンニュートラルを目指し、2030年までにNOxとPMの排出を50%削減する方針です。このような目標から、ディーゼル車の規制が強化され、適合基準が年々上がります。
たとえば、2025年以降は、平成28年基準を超える車両が新たな対象になる可能性があり、古いトラックやバスは使用制限が増えるでしょう。自動車開発も進み、DPFや酸化触媒の性能向上が期待されますが、技術開発コストが上昇し、車両価格が10~20%高騰する予測です。特に中小企業では、投資負担が課題となりそうです。
また、電気トラックや水素燃料車の普及が進む一方、充電インフラやコスト面での課題も残ります。規制強化に伴い、ディーゼル車の価値が下がり、中古市場での取引が難しくなる可能性もあります。環境負荷低減のため、企業は早めに低排出ガス車への切り替えを検討する必要があります。消費者にとっても、車両価格の上昇や維持費増加が影響し、長期的な計画が重要です。
今後は、規制の情報を定期的に確認し、対応策を講じることが求められます。
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まとめ
このディーゼル規制への対応は避けて通れるものではありません。この先カーボンニュートラルというさらに厳しい業界の問題も待ち受けています。この排出ガス規制をクリアするための規制解除装置にも、排出基準達成車両を新規購入するにも大きな費用がかかります。近い将来を見据えて資金計画を立てておく必要があります。
新たな厳しい世の流れに対応するためにも、新規トラック購入のために使用中のトラックを売却することも検討してください。その際にはトラックファイブにご相談ください。
トラックファイブは創業20年以上、年間13,000台以上のトラック・重機買取を行っています。これまで頑張ってくれたトラックの売却をお考えの際には、ぜひトラックファイブにご用命ください。
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